ドミニカ共和国に青年海外協力隊として派遣されていた
このブログにもたびたびコメントをくれる
“ベジータ”さんが来福。
忙しい時期だから、今来ると仕事手伝わされるよ、と
来る前に伝えたのだが、
8月から職が決まっているようで、その前に来たいとのことで
農作業を手伝う覚悟で来ていただいた。
一泊二日で来られたのだが、こき使ってしまって
本当に申し訳なかった。

せっかく来られたので、是非、インドネシア研修生に座学を、
と、お願いしたら、快諾してくれ、
活動の最終報告で作ったパワーポイントを使いながら
ドミニカの農業と彼の活動を紹介してもらった。

ドミニカでは協同組合の考え方が農家に浸透していないらしい。
土地の分配や独裁政権の影響なのかどうか解らないのだが、
そういった考え方が希薄だという。
独裁政権時代に、農地すべてが一時国有化され、
その後独裁者の暗殺後に、国民に再分配されたこともあってか
大地主による支配や地主―小作の関係のようなものがほとんどない。
地理的にも共産主義に傾倒し難い状況でもあろうから
土地による農民の闘争なども少なかったのだろうか。
(日本では日農などの闘争があり、僕の集落でも、戦時中までそういう組織に属していた小作はたくさんいたのは余談)

彼の所属していたJICAプロジェクトでは
ドミニカ政府が建てて使用されなくなっていた有機肥料の工場の再建を中心に
農家の協同組合化を図り、
農業技術の向上と有機農業の推進を行っていたようだ。
協同組合の考え方が希薄だったこともあってか
農作物の出荷はすべて相対取り引きで、しかも資金や資材の面でも
中間業者が力を握っているとのことだった。
農家にネゴシエーションをする余地はほとんどなく
中間業者の言い値で、農作物が売買されるとのこと。
このあたりの話はインドネシアでも多い。
協同組合化を進めるメリットとして
中間業者とのネゴシエーション強化があったようである。
有機肥料を中心とした農業技術の強化と
協同組合化による交渉力とブランド力の強化。
彼の話からは、そんなプロジェクトの姿が見えてきた。

その中で、ベジータさんは
天敵利用による農業技術の確立に奮戦していたようだ。
自ら顕微鏡をのぞき、天敵を特定し、それをデータ化していた。
最終的にそれを1冊にまとめ、
ドミニカでは初めて体系的に書かれた天敵のデータ集を作り上げた。
これは是非、ドミニカで出版されることを祈りたい。

そのデータ集を見せてもらったのだが
豊富な写真に目がひかれる。
すべてオリジナルの写真で、
どの天敵研究機関でも特定できていない虫2種も含まれていた。
もし新種であれば、ものすごい発見だ。

そのデータ集には、ドミニカでポピュラーな農薬の一覧表もついていて
どの農薬が天敵に影響があるかどうかが示されていた。
こうしたデータは、途上国やインドネシアでもほとんどなく
また日本でもまだまだ少ないので、とても貴重な研究だったといえよう。
彼の地道な活動がこうした知識として形を得、
今後、協同組合の枠の中でこうした知識が共有されることを
心から願いたい。

僕がここで生態系利用の農業をやっていて思うのだが
個人と環境とがつながったとしても、
それは実現がとても難しい農業の形だと思う事がある。
仲間との情報共有だけでなく、
有効な土着天敵の発見・維持やそれの交換・繁殖まで含めて
ある程度の面積と仲間が必要だと感じることが多い。
もしドミニカで推し進められている協同組合の中で
ベジータさんのデータをもとに
土着の天敵をリレー的に農家間で利用できれば
こんな素晴らしいことはないだろう。

ベジータさんの貴重な講義を受け、
インドネシアの研修生たちは、来週にもレポートをまとめてくる予定。
その中で、座学の中では時間切れになって
十分に議論できなかった点を質問として書くようにも言ってある。
彼らが何に感動して、何を質問してくるかが楽しみであると同時に
今度はメールという形になるが
もうしばらく、ベジータさんと楽しい議論が出来そうで
楽しみである。
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No title

先日は、とてもお忙しい中にもかかわらず、訪問を受け入れてくださり、本当にありがとうございました。
たやさんが、どのような覚悟やこだわりで農業をされているのか、その一端に実際に触れられたことが、何よりもよかったです。

ドミニカ共和国の農業。
まとまりもなく、つたない話で申し訳ありませんでした。
私のいた任地で今進んでいる協同組合の活動が、今後どのように進化していくのかが楽しみです。
帰国前は、直売所を作ろうと動いていました。
まだ実現していないようですが、実現すれば、ドミ共ではかなり画期的なことです。
将来、この協同組合がますます発展し、中心メンバーの汚職なく、会員農家からの信用を保っていってくれることを願いたいです。


まだまだ暑い日が続きそうですが、くれぐれも健康にはお気を付けください。

No title

ベジータさん

先日は本当にありがとうございました。
僕だけでなく、研修生たち(インドネシア人&日本人)にもとても良い刺激になりました。それだけベジータさんの活動が本物だったんだと思います。
協同組合の話は特に面白く、今後の展開も知りたいです。僕としては、あれだけの研究成果をあげたベジータさんの功績を、その協同組合の中心に置いて、目指すべき農業の形とすべきではないかと思っています。

それとは別にですが、
僕が隊員時にまとめたインドネシアで使用されている農薬の一覧表にベジータさんのデータをくっつけたいのですが、良いでしょうか?ベジータさんの研究はドミニカだけでなく、他の国でも応用が効きそうですし、是非、ああいったものをインドネシアでも作る必要を感じています。

これからもいろいろとご助言よろしくお願いします。

No title

返事が遅くなりまして、申し訳ありません。
ようやくネットが普通に使える環境になりました。

そして、今日からまた働き始めました。
まったく暑さは緩んでおらず、さっそく先が思いやられます・・。
そちらは、みなさん体調は大丈夫ですか?
熱中症にならならいように注意してください。


農薬リスト、ぜひ利用してください。
インドネシアの農家の間にも農薬に関する知識がさらに増してくれればうれしいです。

ただ、あのリストは、

http://www.biocontrol.jp/sub2.html

この日本バイオロジカルコントロール協議会のHPからダウンロードできる、「殺虫剤、殺菌剤の天敵への影響表」を参考に作成しました。
ですので、この影響表はさらに詳しいです。

それから、あの表にはいくつか間違いや足りない点があります。
たとえば、アファーム乳剤は、合成ピレスロイド剤ではないですが、ピレスロイド剤に入れてしまってます。
殺虫効果のある害虫は、用紙サイズの関係上、省略しているものもあります。
他にもあるはずですが、あくまで参考程度ということでよろしくお願いします。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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