今日の座学は、H君の卒業研究のゼミ。
H君が読んだ日本語の農業雑誌の記事を
発表してもらい、議論をする。
今回のお題は、未熟・中熟・完熟の堆肥について。

インドネシアで農業指導をしていて感じたことの一つに
堆肥は必ず完熟じゃないといけない、と
農家だけでなく現地の県の普及員も
そう考えていたわりに
良質の完熟堆肥の製造はままならず
使用法の間違いから、堆肥の悪い面ばかりが現場で出てしまい
堆肥=まゆつば物、と思われていたこと。

みんながみんなそうではなかったが
どういう堆肥を作って、どういう目的で土に投入するかが
はっきりしていなかったことが一番の問題。

H君やイル君・タン君も同じような考え方で
なんでもいいから堆肥を作って
土に入れれば、それで良くなると考えていた。
それは堆肥を否定した僕のかつての任地の農民と
実はあまり変わらない視点。
有機質肥料をふんだんに使う僕の農園で研修している3人は
否が応でも、有機質肥料の有効性を目の当たりにする。
だから、彼らは有機肥料が良いと思い込む。
僕がいた任地では、化成肥料の実用性は経験上もっとも効果的だった。
そして熟度と土壌条件を無視して、
さらに使用法を間違って、使用された堆肥に対し
良い印象で、「あまり効果が無い」と思われ
最悪の場合、「あれを使うと作物が枯れる」とまで思われていた。

しかし、肥料という存在は、植物中心に有機か無機か(有機肥料か化成肥料か)の
しかも断片的でトータルでない至極情報不足の中で
得られている経験からくる二分論ではない。
肥料の熟度と投入する土の状態、そして農の作付けサイクルという流れ、
それらの情報をトータルした中で、
農民が自らその使用を決定することなのである。

今回のゼミは、その意味でとても有意義だった。
H君が発表してくれたのは、堆肥の熟度とその使用法。
情報源は、例のごとく、「現代農業」と言う雑誌。
堆肥の熟度を未熟・中熟・完熟に分けて説明してくれた。
よく思い違いされるのだが、窒素成分が一番多いのは、未熟のもの。
そして完熟のものが、一番少ない。
有機物を分解する菌の数量は、中熟が一番多くて
未熟と完熟のものは少ない。
だから、これらを使用する場合
未熟と中熟の堆肥は、浅く施肥し、
土の中で分解させるイメージで使用する。
未熟のものは投入から1カ月以上は畑を休ませ、
中熟のものは3週間から1カ月は休ませる。
その反対に完熟のものは、深く耕して入れることができ
すぐにでも作付けが可能で
追肥としても使用可能なのだ。
完熟の堆肥は肥料成分は少ないが
多投できるので、ゆっくり長く肥効が得られるので
なかなかのすぐれもの。
土壌条件にもよるが、僕の経験上、
中熟と完熟の間くらいを入れるのが
菌の量と肥料成分を考える上では、良いのかな、と思う。

土が疲弊している場合は
完熟よりも未熟に近いものを浅く入れて
土を休ませながら、土の中の菌を増やす。
安定した土壌なら、完熟のものを深く入れて
長くゆっくりと肥料の効果を得られるような土を維持していく。

H君の発表を受けて
ほかの2名も、
堆肥は必ず完熟しか使えないと思っていた、や
堆肥は完熟であればあるほど肥料成分が多いと思っていた、と
これまでのステレオタイプが、少しは払しょくできたようだ。

肥料の使い方を見ていけば、
肥料とは何か、肥えた土とは何か、が見えてくる。
研修生3人は、それぞれに何か感じ取っている風であった。
その感じ取ったものが、それぞれを「考える農民」へと導いてくれると
僕は信じたい。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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