金時草に導入した天敵農薬アブラバチの中間報告。
以前のエントリーでも書いたが、
金時草のように茎頂部を収穫するようなタイプの野菜には
アブラバチの持ち出しがおおくなり
結果として、それほど効果が無いのではないかと考えられた。
結局、天敵、天敵と騒いでいても
それは所詮、気休めに過ぎないのだろうか。
そんな不安を持ちつつも、ぐっと我慢をして
経過を観察し続けた。

5月に入り、ハウス内の気温がずいぶんと上がった。
そのこともあってか、アブラバチの活動も活発になり
かつ、孵化までのスピードも速くなってきた。
当初、アブラムシの増殖スピードの方が速かったのだが
5月10日を過ぎるころには、アブラバチに寄生された
アブラムシ(マミー)が多数観察でき、
現在では、その多くが孵化して、
さらにアブラムシに卵を産みつけている状況になった。

こうなったのは、やはりハウス内に植えた麦の役割が大きい。
金時草は、茎頂部を収穫で持ちだすため
アブラバチの寄生したアブラムシ(マミー)も一緒に
ハウス外に持ち出すことが多かった。
これではハウス内のアブラバチの数が一向に増えず
結局はアブラムシのハウス外侵入とハウス内増殖の
スピードにはかなわないように見えたのだが、
ハウス内に植えた麦の間で増殖したアブラバチが
結果として、ハウス内全てにいきわたり
たとえ、孵化前のマミーを収穫物と一緒に
ハウス外に持ち出したとしても
ハウス内のアブラバチの密度を一定に保つことができるようになった。
今回の麦のような役割をしてくれる植物を
バンカープランツと呼ぶ。

ムギクビレアブラムシのマミー


バンカープランツは、いわゆる天敵の住処。
それ自体は収穫しないので、ハウスの利用効率は
若干悪くなるようにも思われるが
農薬散布の労力や危険性からある程度開放されることを考えれば
利用しない手はない。
今回は麦を利用したのだが、麦にはムギクビレアブラムシがつく。
このアブラムシは主に麦ばかりを害するもので
金時草には害がない。
このムギクビレアブラムシを餌にして
アブラバチが増殖し、ハウス内にとどまっていてくれるため
今では、外から入ってくるモモアカアブラムシや
ワタアブラムシが、決定的な害を及ぼす密度になる前に
天敵(アブラバチ)の餌食となっている。

以前も書いたことだが、
非選択性の農薬散布をこの圃場ではやめたことで
他の虫たちもずいぶんと増えた。
ヒラタアブやナナホシテントウムシなどの
アブラムシを餌にしている捕食性昆虫も
容易に観察できるようになった。
人の手がずいぶんと入り込んで作り上げた生態系のバランスなので
これを維持するのは容易ではないのは想像できるが
なんとかこのバランスを維持していきたい。

ちなみに、
5月に入ってから暑い日が続き、いよいよアザミウマ類も
活発に金時草に害を与え始めた。
これを防除するためには、
タイリクヒメハナカメムシかカブリダニといった天敵を
新たに導入する予定でいるのだが
25度以上の気温で安定するとのことなので
今回は、ボーベリア菌というアザミウマ類に寄生する菌を
主成分とした農薬(ボタニガードES)を散布した。
2年前にもずいぶんと試した農薬だったのだが
その時は使い方を熟知しておらず、結果を得られなかったのだが
今回は、ハウス内の湿度が一定期間高くなるように
気をつけた結果、
アザミウマに寄生するボーベリア菌を観察できた。

天敵昆虫や菌類は、たしかに化学合成農薬に比べたら
使い方にコツがあり、容易に結果は得られない感じだが
それでもそれは、気休めではなく
しっかりとした効果あるものだと確信できた。
今後、他の野菜栽培でも積極的にこの技術を取り入れていこう。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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