来日3年目のインドネシア研修生のH君。
最終年度は、卒業研究をせよ、と言われて
彼自身、有機肥料の有効性について研究することにしたのは
以前のエントリーでも書いたとおり。
(卒業研究2008年度生を参照されたい。あまりにも整理されていなかったので、カテゴリは少し整理してみた)

さて、その研究だが、
H君は自分で堆肥を作り、それも試験栽培区に入れたい、と
現代農業などの雑誌をゼミで取り上げるようになってから
言うようになっていた。
しかも、ここの土着菌を使って。

僕がこれまで関わりを持ってきたインドネシアの農家のほとんどが
自作堆肥には、EM菌を購入して、それを使わないとできないと
思っている節があった。
青年海外協力隊で赴任していた農村でも
堆肥づくりの講習会は開いていたのだが、
土着菌で堆肥を作る僕に、みんなが
「EM菌使わないと堆肥にならない」と
口をそろえて異を唱えたことが今でも懐かしく思い出せる。
その後、インドネシアのボゴール農科大学院に留学した時、
そこでも様々な有機肥料に関するインドネシアの書籍を読む機会があったが
全ての本がというわけではないが、
堆肥の発酵に必要な菌を「特別な菌」と称して正体を明かさない
なんだか秘伝の菌のように書かれている本が多かった。
ボゴール農科大の有機肥料の先生なんぞは
その菌のパテントでずいぶん儲けているという噂もあった。
が、それは悪いように語られているわけじゃなく
その技術に対する賛美として人口に膾炙していた。
まぁ、そういう優良な善玉菌を安値で販売するのは良いが
それが先行してしまうと、
その菌を使わなければ、あたかも肥料にはならない、という
新しい偏見も人々の間で生みかねない。
僕が協力隊時代から今まで、そういった資材を批判し続けているのは
そういう偏見に対するものである。

僕の薫陶(???)を受ける前は
H君も、肥料発酵菌の資材を利用しないと堆肥は出来ないと思っていた。
だが、菌はどこにでも存在する。
そして、特に特別な資材を使わなくても
菌は簡単に手に入り、さらに最も大事なことは
その菌が繁殖しやすいような環境下にすることなのである。

ということで、今日は研修生をひきつれて
河川敷の林の中へ。
竹と柳の林で、落ち葉がずいぶんと積っており
それをすこしめくっていくと、葉が分解されている層がある。
そこに多くの菌がいる。
幾枚かの葉が白く固まっている塊をすぐに見つけることができるだろう。
それが、菌のコロニー。
それを拾い集めて、発酵のスターターとする。
資材を買う必要もない。
パテントのかかった菌を使う必要もない。
身の回りのある、土着の菌。
その菌こそ、自分の住む地域の菌であり
自分の住む地域の風土にあった菌なのである。

H君はそれを大事に持ち帰り、
明日にでも炊いた米を媒体として、その土着の菌をすこし培養する予定。
その後に、近くの農家から分けてもらった米糠と混ぜ合わせて
堆肥づくりに入る。
H君はこのプロセスから、
何を感じて、そして何をインドネシアに持ち帰るのだろうか。
土着菌を見つけ、少し高揚している彼の横顔をみて
ふとそんなことを思った。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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