娘が生まれた時に、
出来るだけ安全なものを食べさせてやりたい、
そんな思いで始めた自家菜園がある。
そこでは、かつてはさまざまな品種を栽培し
食卓のほとんどをその畑の収穫物だけで賄おうとした時期もあった。
そしてその畑は、肥料は少し加えるものの、
農薬は使わず、というよりも
農薬登録されていないいかなる薬剤も無散布で、
何も手を加えないという意味で、より自然に任せた畑でもあった。
そしてそれは今も続いている。

ただ、娘が生まれた当時よりも
僕の農に対する考え方がずいぶんと変化しており、
この菜園だけで自給することもないし、
農薬に対する考えもずいぶんと変わってきている。
必ずしも無農薬でなければならない、とは
すでに思っていないものの、この菜園を無散布で耕し続けるのは
無散布に対しては、ほぼ個人的な関心ごとで
その実験と観察をするためものである。
というのは余談。

さて、その畑。
今年からそのほとんどを研修生(インドネシア人・日本人)と
セネガル人スタッフのイブライに開放した。
収穫物を4家族で分ける予定で
みんなが植えたいものを植えていいことにした。

昨年もインドネシア研修生に一部開放したのだが
収穫物をすべて持っていってしまうという
認識上のルールの相違があって、うまくいかなかった。
なので今年は、
収穫物はすべて4家族で平等に分ける、
ということにした。

作付計画は、研修生とイブライに任せて
僕はとにかくインドネシアのトウガラシと
トマトがあれば、それだけで十分だったので
その数量だけ、増やしてほしいという希望を出した以外に
特に口出しはしなかった。
苗代も4家族で折半となっているので
それぞれが食べたい野菜を植える段取りになっていた。
そして本日、野菜苗の定植をみんなでした。

ただ、僕がインドネシアのトウガラシを増やしてほしいと
希望を出すと、思いもしない奴から横やりが入った。
それはセネガル人スタッフのイブライ。
「それ増やしても食べない。去年、たくさん捨てた」
と普段はそれほどの記憶力も発揮しないくせに
昨年のことを持ちだして、数量は少なくて良いというのである。
確かに昨年は、収穫する時間がなくて
またそのトウガラシは、
インドネシアのチリソースに加工するために作っているのだが
その加工する時間がなかなか用意できなかったこともあり
結局、収穫適期を逃してしまったのである。
食べたくないわけじゃない。
至極食べたいけど、あわただしく過ごしていたら
忘れてしまった、というだけなのだ。
研修生とイブライだけで立てた計画を見せてもらったら
トウガラシはたった5本だけにされていたので
ここは強引に、トップダウンで22本に増やさせてもらった。
イブライは不満顔だった。

そのイブライ。
トウモロコシが好きということで、
40本のトウモロコシを定植した。
イブライは解っていないだろうけど
この菜園は、普通の畑よりも過酷な条件。
なんせ、無散布の菜園で
雉やカラスのえさ場でもある。
僕はこの畑で、娘や妻が大好物のトウモロコシを
4年間作り続けて、
ほとんどまともには食べられなかった。
嬉しそうにトウモロコシをイブライが植えていたが
その実が彼の口に入ることはほとんどあるまい。
まぁ、それも勉強だろう。

インドネシア研修生は、
バヤムという葉野菜を一畝もらって播種していた。
「これ、とてもおいしい」
と日本人研修生やイブライに説明していたが
ごめん、正直言ってそれ
僕はあまりおいしいと思ったことはない・・・。


それぞれが、それぞれに
美味しいと思うもの、食べたいと思うもの、を
その先の楽しみを想像しながら植えた。
それぞれに嗜好の違いはあるものの、
それはとても素敵な時間の始まりのように見えた。
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ホームルーム。。。

「一時間目」
の始まる前を見ているようで楽しいです。田谷センセイ!!

これからどんな楽しい時間になるのか!

なんだか私まで勝手にワクワクします(笑)


Re: ホームルーム。。。

きりさん

一時間目の始まる前の様、とのことですが
そうですね、なにか今からとても楽しい、素敵な時間が始まるような気がします。
やっぱり何か食べたいものを、それを食べることを考えながら作る時間は、とても贅沢な気がします。僕の農園での仕事もそうだと良いのですが、せめて、この自家菜園の時間をスタッフや研修生と一緒に楽しもうと思います。

No title

うちでも、子供たちに”旬”というものを知ってほしくて、いろいろと作っています。
子供たちにも、手伝いという名の遊びをしてもらうと、意外と、嫌いなものが、食べられるようになって、一石二鳥いや三鳥ですよ。

Re: No title

こでさん

そうですね。子育てと自家菜園はとても良い関係ですよね。
うちの娘は、なかなか嫌いなものを食べられるようにはなってくれませんが、それでも畑に連れて行くと楽しそうにしています。
途中から、収穫そっちのけで、泥んこ遊びになってしまっていますが。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

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