インドネシア研修生への講義の話。
今回は、「おいしいコーヒーの真実」という映画を見て
レポートを書いてもらった。

授業の準備が間に合わないときは、
やはり映画を見てもらうに限るなぁ、
という手抜きではないのであしからず。

この映画がどういうものかは、リンク先に譲るといて
レポートの課題では、
どうすれば、農家はコーヒーをめぐる貧困の構造から抜け出せるか
それを、H君やイル君に考えてもらった。

H君もイル君も置かれている状況は、
おいしいコーヒーの真実のエチオピア農民とは違うかもしれないが
見方によっては、彼らのおかれている状況も
貧困の構造として捉えられなくもない。
特に、イル君の場合は、コーヒーではなくお茶だというだけで
世界市場に直接リンクしているという意味では
エチオピアの農民と同じような苦しみがある。

さて、課題。
彼らの意見はとてもポジティブだった。
まず、コーヒーだけに目を向けてみれば、
マーケットでの評価を高めるために、技術向上、有用品種の導入などを挙げた。
これは普通誰でも思いつく。
市場開拓としては、映画ではフェアトレードこそが希望の星と
描かれていただけに、
その推進は必要とH君は言っていた。
ただ、それは買い手の都合でもあるので
生産者として、またそのような貧困の輪の中にいるイル君には
あまりピンとこなかったようで、
コーヒーの国内販路を独自に探す方が良い、と彼は言っていた。
また、講義で取り上げた馬路村の例をH君は覚えていて
「コーヒーを直接売るのじゃなくて、一部は加工していろんな商品として販売しても面白いかもしれません」と答えてくれた。
なるほど、なるほど。
具体的には何?と聞くと
「コピコ」(インドネシアで有名なコーヒー飴の名前)
と、恥ずかしそうに答えてくれた。
まぁ、何に加工するかは課題だが、路線としては面白い。

次に、コーヒー外での方策として、両者に答えてもらった。
映画の中では、コーヒー以外に何も育たない土地で
コーヒー栽培をやめた農家は、コカの栽培をしていると紹介されていた。
H君は、映画で出てきた畑の様子から
「あれだけ草の生えている場所なので、野菜が育たないとは思えません」
と言い、
換金性の高い野菜や他の加工作物栽培が大事だと答えてくれた。
また、イル君は、
「草はたくさん生えていたようだったので、家畜なんてどうでしょうか」
と畜産との複合経営を示唆した。
両者とも、エチオピア農家のコーヒーだけによるモノカルチャーを良しとしておらず
いろんな作物や畜産との複合経営をするべし、と答えを出してくれた。

この映画を僕ら(日本人)だけで見てしまえば
従属論的な論調とその中で虐げられているエチオピア農民に対して
一種の庇護の精神が生まれてきて、
少し醜いその視点で、フェアトレードなんて考えてしまうのだが、
H君とイル君は違っていた。
彼らは、コーヒーの販路としてフェアトレードには賛成するが
それでも、エチオピア農民に対してコーヒーだけのモノカルチャーは
否定していた。
やれる方策は他にもある。
従属論的な論調の映画を見事に否定して
彼らは力強く、その方策を答えてくれた。

こういう瞬間こそ、講義をしていて良かった、と思えるのである。
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おいしいコーヒーの真実

講義の話、大変興味深く読みました。エチオピアのコーヒー農家に対して別の視点をいただきました。

>彼らは、コーヒーの販路としてフェアトレードには賛成するが
それでも、エチオピア農民に対してコーヒーだけのモノカルチャーは
否定していた。

ひとつのパターンにとらわれず、とにかく知恵を絞り、それを実際に行動に移して行くことが大切でね。

貴重な講義でのお話をシェアしてくださってありがとうございました。

Re: おいしいコーヒーの真実

ETCマンツーマン英会話さん、コメントありがとうございます。
あるフレームワークに当てはめて分析をするのは、とても思考が楽で、複雑な事象も論理的に説明出来たりもします。でもそれが必ずしも真実ではない、ということに自覚的でなければ、その凝り固まった思考のフレームワークの中に安住してしまいがちです。日々構築されるフレームワークを壊していく作業こそ、新しい発想と視点を生み出すのだと信じて、こうした講義を行っています。これからも当ブログにお付き合いいただければ嬉しいです。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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