前回のエントリーで、長文のコメントをもらった。
現場からの生の意見。
それに答えるために、書いていたら、
こちらも長文になった。
どうせなので、そのままエントリーとして載せることにした。

以下、コメントへの僕の答え。



ベジータさん、コメントありがとうございます。

現場からの生の意見だけあって、
とても難しく、僕が上手く答えられるかどうか
解らず、コメントが遅くなってごめんなさい。

当時の自分を思い出すに、
ベジータさんとの状況が違うので一概には言えないと思いますが
僕も、技術移転先は農家であれば十分だと思っていました。
行政との連携に煩わされることなく
農家への指導に力を入れていました。
だから農家の方も、僕個人を普及員として高く評価してくれました。
最近まで僕はそれで良い、と思っていたのですが
同じ頃に、畜産で活動していた女性隊員(同期)の
牛のレボルビングシステムが、
当時からのカウンターパートの頑張りで発展的に持続していることを
目の当たりにして、
僕の姿勢は果たしてそれでよかったのか、と思うようになりました。

技術的には各農家に沈殿している部分があるのでしょうし
みんながみんな、野菜を作って経営を成り立たせる必要はないと思います。
それぞれの経営体の中で、畜産や他の換金作物を生産することもあるでしょう。
ましてや、それが活動を終えてから10年という歳月が経ってしまえば
その間の様々な経験や状況の変化によって
当時の面影はなくなってしまうことも多いにあります。
僕は、今回のエントリー(愛しのアレジャン集落 第38話第39話)で
問いたかったのは、
野菜はなぜ消えたのか、ではなく、
牛はなぜ消えないのか、だったのです。

僕の活動した地域が
野菜作りの盛んな地域になる必要もないですが
それを推し進めるのも
それを維持して発展していくのも
当時の僕は、農家次第だと思っていましたが、
どうもその考えが甘いというか
そんなこともないというのが、今回のことで見えてきました。

Farmer to Farmerの波及効果はあると思います。
エントリーでもでてきたM氏の養鶏が何よりの証拠です。
それを支えるものが行政でなくても良いのは、
それからも解ります。
ただ、生産を持続させていく中で、
市場の刺激や外部からの刺激が常になければ
それらは持続していかないし、持続させる必要性もないということです。
M氏は野菜ではなく養鶏を選び
行政ではなく、民間資本を選び
そして持続的に市場からの刺激を受けて、
自身の養鶏を大きく発展させています。
牛の活動は、
行政官の頑張りと携帯電話の普及で
市場と行政からの刺激を受けやすい形になることで
持続していると言えるでしょう。
だから、そういう刺激を受ける構造が
出来上がっていれば(それに乗っかる形で)、
もしくは自ら作り上げることができれば
僕らは、個々の農家への技術移転だけで考えれば良いのかもしれません。
自分が普及させようとしているもの
力を入れようとしているものが
その地域のなかで、どういう価値の位置づけになっているか
市場や行政・民間から評価を持続的に受けていけそうかどうか
そこに鍵があるような気がします。

僕が地元で農業をして
売れない・変わった野菜を延々と作っていますが
それらにしても、徐々にですが市場で評価を受けるようになっています。
妻が以前こういうことを聞きました。
「変わった野菜はみんな作るけど、売れなくてやめていく。どうしてあなたのだけ、結果として売れていくの?」と。
答えは簡単です。
売れるまで作り続けるから、です。
変わった野菜を作る、あいつに言えば何でも作ってくれる、
そういう評価が市場内で僕に対してある程度付いてきました。
それが僕の販売戦略の一部にもなっています。
そういう市場の刺激を狙って
僕は僕自身の経営を考えていますが
それは、振り返ってみれば、僕の任地での農家と同じことだと思います。
刺激を受けられる状況にあるかどうか
それが大切なんだということに、いまさらながらですが
気が付いた次第です。

ベジータさんたちが推し進めている有機農業の農家への普及は
隊員が帰国後は、農家はどこから刺激を受けていくのか、
それが見えていれば、その刺激に合わせて活動の形は変わるかもしれませんが
その路線で持続すると思います。
ただ、僕の場合のように
隊員の存在自体が刺激となって活動が続いているのであれば、
それは、結果は僕と同じになるかもしれません。
歳月の中で、周りの状況も変わっていきますから
今の時点では言いきることはできませんが。

隊員は置かれた状況が、G to G(政府と政府)でもあるので
行政の中で、思考が固まりがちですが
いったん離れてしまえば、
僕の場合ですが、どうしてもっとビジネス的に出来なかったのだろうか
と疑問に思うこともありました。
むら全体の平等性なんかにもずいぶんと気をとられていましたし。
身近な市場や人間の関係性(行政や民間)からの刺激を
常に受けられるような真っ当なビジネスとしての社会企業の視点が
もっと必要なのかな、と僕は最近思っています。

ベジータさんの問いに答えられているかどうか
甚だ疑問ですが、これが今、僕が持っている答えです。
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丁寧なお返事、本当にありがとうございます。
とても参考になりました。
今、現場にいる僕としては、10年前に同じ野菜隊員としてバリバリ活躍され、その後10年間も現場を訪れ、考えられてきたたやさんのご経験が、本当に参考になります。

僕は派遣前に民間農事組合法人で働いていたので、この行政と民間というものの違いを感じながら活動をしてきました。
最初は生産技術ではなく、販売や協同組合のような販売組織をつくれる可能性を探りたいと、ビジネス的な部分で活動したいと考えていました。
(結局、生産技術の面での活動が中心になってしまいましたが・・)
すると、配属先(農業研究庁、ややこしいですが、農務省ではありません。)を中心に、農家の協同組合をつくろうという動きが出始め、実際に組織化され、今、野菜の地域スーパーでの直売や輸出に向けて動き始めました。
すごいことだと思います。
行政機関の配属先が中心になって組織したとはいえ、運営しているのは民間の農家です。

しかし、カウンターパート(農務省普及員)たちは、その動きにほとんど関心がありません。


>隊員が帰国後は、農家はどこから刺激を受けていくのか、それが見えていれば、その刺激に合わせて活動の形は変わるかもしれませんが、その路線で持続すると思います。
>ただ、僕の場合のように、隊員の存在自体が刺激となって活動が続いているのであれば、それは、結果は僕と同じになるかもしれません。


本当に参考になります。

今の行政のカウンターパートとだけで活動を続けるなら、きっと隊員の存在自体が刺激になっているにすぎないのではないかと思います。
僕にとって、公務員というのは難しい相手です。
でも、この民間の協同組合とともに活動をするなら、それは隊員帰国後も農家に刺激を与え続けていける可能性は大いにあると思います。

たやさんのご意見を聞いて、このカウンターパートたちのみを相手に活動を続けるより、この協同組合とともに農家の販売力をつけ、農家の情報を管理したり、グループとして栽培品目を調整したり、勉強会を開いたりという活動をしていく方が、より効果的なのではないかと思いました。

残り期間もわずかで、いまさらがっつりとそうした活動をするのは逆に難しいですが、できるかぎりその方向で活動してみようと思います。
それから、後に来る僕の後任隊員には、そうしたことも視野に入れてほしいですね。

本当にありがとうございました。
また長文になってしまい、申し訳ありません。

Re: タイトルなし

ベジータさん
コメントありがとうございました。
こちらこそ、現地からの生の声を頂き、刺激になりました。
協同組合の活動は、とても面白いですが、
僕個人としては、ベジータさんの天敵についての研究活動は
とても見事だと思います。
さまざまな活動に関わっているようで、
すごいなぁ、というのが感想です。
また機会があれば、教えてください。

後任の方もこられるようですね。
引き継ぎがうまくいけば、
協同組合の活動の行く末も面白くなりそうです。

残り任期短いかもしれませんが
体を大事に
悔いのないように活動してください。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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