この前の日曜日、むらの総会があった。
農家組合、環境保全隊、そして町内会の3つの総会が
1日で行われた。
その農家組合の総会で、僕は来年の農家組合長に選ばれた。
何か偉くなったわけではない。
うちの村では、
村にすむ者で、田んぼが5反以上あれば、
誰もがいつかは務めなければいけないむらの役職の1つ。

まず基本的な情報として、
農家組合はJAとは違う。
各村の任意団体であり、現在うちのむらの農家組合の大きな仕事は
政府からお達しのある減反の各戸への割り振りや
むらの農家でJAへ出荷する米の倉前検査(等級を決める)の手伝いなどである。
また各戸にお願いする用排水路の清掃のチェックや
共同地の除草・清掃等もある。
まぁ、要はむらの農家の皆さんのための雑用係と言ったところだろうか。
などと軽口調に書くと、年寄りから怒られそうではあるが。

うちの村では、今のところ、僕が一番若い農家。
次に若い人は、40代後半、というかほとんど50歳に近い人。
上は、80代までいるが、50代から下がほとんどいなくて
僕一人30代といった農業構造。
そういう状況ではあるが、
うちの村では、農家組合長は30代から40代前半にやることが多い。
つまり、自分の親が農業をしているが本人は全く農業をしていない、もしくは
田んぼを持ってはいるが自分で耕作していない人が
農家組合長をやっていることが多い。
ここ5年くらい見渡しても、そんな感じ。
たまに、定年になったからと言ってやる人もいるが
基本的には若いうちにやる仕事、とむらの中では考えられている。
年寄りに言わせると
「若いうちの勉強だ」だそうだ。
若いうちに、こういうお金の流れやむらの田んぼについて関わることを
やっていおくことが大事だそうだ。
確かに、今まで解らなかったことが、役をやると良く分かるものである。

さてさて、
そんな田んぼはあるが、
農業に携わっていない若者は、よろこんでこの役をやるのか、といえば
答えは、当然NO。
なんでそんなものをやらなきゃいけないんだ、といった反応ばかり。
それを飲ませて、食わして、なだめすかして、説得して、
おだてて、説教して、褒めまわして、
じゃぁ、やるよ、と言ってくれるまでアプローチをかけているのが現状。

僕の仲の良い人が農家組合長をやった時は、
やはり褒めまわされて、さんざん飲まされて、それで気を良くして
「やる」と言ってしまったらしい。
ちなみに僕は、誰の目からもやることが明白だったので
この接待は受けていない。
なんか損した気分。

やりたがらない理由の最も多いものが
「田んぼなんて関係ない」と言うのが多いだろう。
確かに、爺さんや親は田んぼを作っていても、自分は全く作っていないのだから
そういう気持ちが強いのも解る。
戦後、むらが解体されて、
地縁で結ばれた生業が力を失い、
「自由」の解釈が変わり、
人はより強くなって、
なんにでもひとりで立ち向かっていけるようになったと錯覚した現代では
むらは、
「ただ寝るところ」
なんだと思う。
だから時には、
「むらの役は損ばかりで、あんなのをやるやつなんて、馬鹿じゃなかろうか」と
吹いてまわる連中が出てきたりもする。
(これは今もいる)

『地縁』が完全に力を失ってしまっているのである。
『コミュニティー』なんて言葉がちゃんと市民権を得ているのに。


農家組合の仕事は、ずいぶんと休日にできるようになったが、
それでも減反の検査や米の倉前検査などは平日ばかりなので
勤め人は、年に3日ほどは会社を休まないといけない。
ある組合長を務めた人は、
「会社を休む理由を農家組合で出ないといけない、と言ったら、周りから『あいつはあんな変な役を受けて、会社を休むけしからん奴 』と言われた。だから後からは、農家組合で休まないといけない時は、適当な理由をつけて休むようにしていた」
と言っていた。
社会的にも、あまり褒められたことでもないらしい。
まぁ、むらを解体して、今の社会を作り上げた面があるのだから
その反応は、当然と言えば当然か。

合理的に考えれば、農家をやっているやつだけでやれば良い、と言う意見も
解らんでもない。
でも、田んぼを持っているのだから、
それがどういうことなのかは知っているべきだろう。
農地と言う、地縁を基礎とした生業の場は、
今はまったく力を失ってしまっているが、
その場が取り持つことのできる力は、みんなが想像する以上に大きい。
だからこそ、
年寄りの言う
むらの役は「勉強」なのだろう。

今後、どうなっていくのか解らないが
僕は、もう少し地縁が力を持っても良いようにも思っている。
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めんどくさそーなやつ
あんな組合、いらない

Re: タイトルなし

おっ、久しぶりのコメントだ。
農家組合ですな。これないと行政費膨大にかかることになる。ま、その処理を農家それぞれが理解すればいいのだけど、その説明会やセミナーにも随分と時間と金銭的コストが膨らみすぎる。インドネシアで農村開発をしていた時に、こういう末端の自治を行政の間に入って行う組織の弱さが、その社会の発展性に大きく関係することに気が付いたので、ぜひグローバルにもななしも見るべきだね。個別の組合の事情は知らんけど。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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