薪ストーブに火が入った。
6月に引っ越してから、
今か今かと待ちわびたこの日。
ストーブを入れてくれた業者が来て、まずはならし運転。

着火剤に火をつけ、
焚きつけ用の細木に火をつける。
その上に、広葉樹の薪をどんどんくべていく。
ヨツール社のF118CBは、最長60cmの薪が入るとあって
奥行きがずいぶんとあり、炉内も広い。
なので業者が持ってきた薪量が、
あっという間にストーブに入ってしまった。

ならし運転は、太い薪を数本燃やすだけだと思っていたのだが
業者が言うには、ストーブの出荷時に全面に塗ってある油が燃えきるほど
ストーブを運転させないとストーブの色むらが出てしまうらしく
また僕のストーブは大型でもあるので、
大量の薪を入れてのならし運転となった。

確かにストーブからは大量の煙が出てきて
それは塗ってあった油が燃焼しているとのことだったのだが
一時は部屋の中が見えにくくなるほどのひどさだった。

炉内の炎は、筆舌し難い美しさだった。
弧を描いたように燃え上がり、それが上部で再び強く燃え上がるような独特の燃焼。
吸気口を絞ると、シガーストーブと言われているように
煙草の火のように、薪が先端から奥へゆっくりと燃えるさまが
なんともいえず美しかった。
業者が持ってきた薪は2時間ほどで燃え尽きてしまった。
ストーブに入れる前に見た時は、
その薪量で一晩もつ量のでは?と思っていたのだが
なんてことはない、あっけなく2時間で燃え尽きてしまった。
シガータイプは燃焼率が悪いと聞いていたが、
確かにそうであった。

しかしF118の鋳鉄量の多さか、火が消えてからも
ストーブそのものは、その後日没過ぎまで熱く、熱を放ち続けていた。

薪ストーブは、なんとも気持ちが和むような温かさだった。
輻射熱で体がほっこりと芯からじわ~っと温まる。
ストーブの前にいると、とろりと溶けていきそうな体と心。
すべてが丸く丸くなってしまいそうな、そんな空間を生み出す。
時間までゆっくり流れているような、
そんな、なんともいえない贅沢な時間。

冬中焚こうと思ったら、今まで考えていた以上に薪量が必要だと直感した。
そうだ、祖父の山をもっと手入れしに行こう。
夏の農作業の忙しさを引きずったまま秋に入り、
せわしなく多品目を栽培・出荷し続け、とにかく走り続けて
その勢いで年を越してしまいそうだったのだが、
薪ストーブが僕の心のスイッチを切り替えてくれたようにも思えた。

数時間のならし運転だったが、僕は労働の喜びとその在り方を
ほんの少しだが、思い直すことができた。
薪ストーブの贅沢な時間は、僕の農の在り方、生活の在り方まで
贅沢な方向へと導いてくれるような気がした。

この気持ちを大切にしたい。

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なんともポエムチックな文面に惹かれました。
愛妻にお会いするのはストーブに火が入っている頃が
いいなぁと思いました。
女二人でストーブの前で酒瓶を立てていても見逃してください。

Re: タイトルなし

Kijangさん
コメントありがとうございます。
是非是非、ストーブに火が入っている間にお越しくださいませ。
とてもあったかいですよ。
酒瓶もジャンジャンならべちゃってください。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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