10 15
2009

「芋の墓場」と呼ばれている場所がある。
それは、近くのスーパーの直売コーナーにある
山積みになったサツマイモのスペースのこと。
僕の農園ではスタッフ間で、その場所を芋の墓場と呼んでいる。
その山に埋もれてしまえば、いつ消費者の手に取られるか解らない場所。
積まれてしまえば、二度と日の目をみることはないように感じられる場所。
だから、僕ら生産者はそこを「芋の墓場」と呼んでいる。

その直売コーナーは、農家が気軽に直売できるスペースとして、
入口付近に設けられている。
自分で値段を決めて、自分で商品を並べる。
スーパーは販売額の15%を手数料として取る仕組み。
誰でも気軽に商品が出せて、値段も自分で決められる。
そんなこともあってから、直売コーナーはいつもにぎやかだ。
農家だけでなく消費者にとっても安く手に入るし、
それに何より近くで生産されているから、
なんだかエコ、なんだか安心、という根拠のない世相も反映して
消費者もよろこんで直売コーナーで買い物をしてくれる。
そして僕も、この直売コーナーで荒稼ぎさせてもらっている。

ただ問題点がないわけでもない。
なんどもこのブログでも書いたが、
年金を十分貰って、生き甲斐で農業をしてます、というお年寄りの方々が
びっくりするくらい安値で野菜を出してきたり
これはごみではないかと思われるものを並べる生産者がいたりもする。
まぁ、何が商品であるかは
直売コーナーに限って言えば、お金を払う側にその決定権があるので
僕はそういう状況でも粛々と自分の納得のいく野菜だけを出すだけのことなのだが。

一番の利点が実は一番の問題点だったりもする。
それは、直売コーナーは地元農家しか出せない、ということ。
ということは、収穫時期がすべて重なるということ。
今は10月。
この時期になると、直売コーナーは
どんな荒れ地でも取れるというサツマイモであふれかえるのである。
このあふれかえったサツマイモは、
生産した各々がそれなりにディスプレイしながら
直売コーナーにきれいに並べられるのだが
手に取る消費者が入れば、それだけ整然と並べられている商品は乱れる。
その乱れた商品を、ある一定の時期が来ると
お店の担当者が、直売スペースを空ける目的で
生産者ごとに並べられていた野菜は
野菜の種類ごとに一か所にまとめられてしまうのである。
そうやってできるのが、芋の墓場である。
一か所に集められてしまえば、一番下になっている芋は
いつ日の目を見られるかは解らない。
また乱雑に積まれている芋の山は、消費意欲を削いでしまうのか
あまり手を出す消費者がいないのも事実。
また消費者の中には、直売バーコードには生産者名が明記されているので
好みの生産者の物だけを買う方もいるのだが
芋の墓場に積まれてしまえば、その中から名前を探し出すことも
困難になってしまうのである。

まったくビジネスチャンスのない場所。
農産物は、まさに死に体。
それが芋の墓場なのだ。

この芋の墓場から、自分の芋を探し出し、平場に並べなおすのが
去年の僕の日課だったのだが、
今年は、店が出すバーコードシール以外に
自分でシールを作成し、そのシールに芋の蒸かした写真をつけたら
それだけで飛ぶように芋が売れるようになった。
シールに文言をあれこれ書くよりも、
少しインクがもったいないけど、写真を貼り付けるほうが
随分と効果があるようである。

今年は芋の墓場とは無縁でいられるかもしれない。
皆さん見かけたら買ってください。
今年はサツマイモとしては、
安納芋と紫芋だけを出荷していますので、よろしく。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

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