またまたまたまた来客あり。
農園まで来てくれたのは、ボゴール留学前に
僕にインドネシア語を教えてくれたアリ君というインドネシア人とその家族。
彼から毎週1回から2回程度、10カ月ほどインドネシア語を学んだ。
彼は、当時、長期海外研修制度で福井の小さな工場で働いていた。
夜勤ばかりのシフトで肉体的にも精神的にもしんどかっただろうが、
昼の空いた時間に、彼は日本語のもう勉強をしており
その空いた時間に、僕にインドネシア語も教えてくれていた。

僕にとっても彼にとってもその10カ月の時期は
自分が何者であるかも見えてない時で、お互い、果てしない夢を語り合いながら
現実とそれに対する不安を抱えながら共に過ごした時期でもあった。
その時には、お互いの夢は、到底実現不可能なものに見えたのだが
なぜか、そんなに深刻にはならず、どこか楽天的でもあった。

そして、僕はボゴールに留学し
彼は、日本の大学に受験して合格した。
僕らは、それぞれが一歩進めるような形で別れた。

そして歳月が流れて、
数年ぶりに彼とその家族が農園まで遊びに来てくれた。
彼は、現在、大手化粧品メーカーに日本で採用され、
日本人の新人育成プログラムを任されている。
いつかは、インドネシア支社への転勤を望んでいるらしいが
いつになるかは解らないとのこと。
伊丹の自宅から、車で農園までやってきたのだが、
運転免許は、日本の教習所に通ってとったという。
彼はいつの間にか日本人よりもきれいで流暢な日本語を話す青年になっていた。

そして僕は、ボゴールの大学院を卒業して
インドネシアの農家子弟を2名、研修生として受け入れている。

彼はもう覚えていないかもしれないが
ボゴールに留学する前に僕が語った、あの実現不可能にみえた夢の一部が
ここで曲がり形ではあるが、実現しているのである。
それは彼にとっても同じことだった。

一通り農園と研修を見学して、彼は、
「それでタヤさんは、彼ら(研修生)がどういう農家になることを望んでるんですか?」
と尋ねてきた。
彼はいつもそうである。
その次をどうするのかを聞いてくる。
その先をどうするのかを僕に語らせる。

だから僕は
ものすごくミクロな部分での話でしかないが、
これまでの座学とインドネシアの経験から、
篤農的な農家が他の農家を引っ張るというモデルではなく、
商人と農家のコラボこそが
これかの農村・農業の発展の1つの形だと思っている
だから、研修生には農業をしつつも、自らが買い取り商人となり
市場の刺激を農家にダイレクトに伝えていける、
農家に提案できる人材になってほしいと思っていることも伝えた。
それがひいては、農家のバーゲニングパワーの獲得にもつながっていくのではなかろうか。
研修生がどういう農業と、商人としてどういう市場を見据えていくかは
これからも一緒に考えていかなければならないことではあるが
その実現の難しさよりも
その夢想する楽しみの方が先行してしまうのである。
彼と話すと、特にそれが強まっていくのが感じる。

短い滞在ではあったが、
お互いが、あのころに語り合っていたそれぞれの夢を
改めて確認できたような気がした。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

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