今日も来客。
今度はアフリカ人13名。
JICAと福井の団体が企画するアフリカ青年研修。
そのコースの一つに僕の農園が入っていた。

昨年もこの研修は企画実行されていたのだが
今年から、僕の農園もまわるようになった。
青年研修と銘打って行われる研修で
福井県内の各農家や農業関係施設を訪問する、いわゆる農業研修。
対象者はアフリカ各国の農家ということだったのだが
農家が来るわけもなく、
ほとんどが農水省のお役人さんなのである。
まぁ、人選を相手国に丸投げするのだろうから
仕方ないと言えば仕方ないか。

さて、そのアフリカ人。
うちの農園の時間は2時間ほどということで、
通訳をはさんでの会話ということもあり
メッセージは明確にしておいた方が良いだろうと考え、
ややこしいことは抜きにして
とにかく農業で一番大切な
「多様性」を伝えようとこちらでは考えていた。

生ごみ堆肥や稲わら堆肥、牛フン堆肥など
土の中の菌を否定するのではなく、種類を、多様性を維持するという視点から
土づくりをしている様子を紹介した。

また圃場では、フェロモン剤の使用や天敵が住みつくためのバンカープランツの導入、
さらには、農薬も使用するがそれがすべての虫を否定するものではなく
特定の虫だけを少しコントロールして、
全体的に多様性を保つ方法などを紹介した。

このブログでも何度か書いたが、
うちの村は、河川敷の沖積土とその河川を活かした流通で
野菜の産地として生きてきた。
その歴史が、今のうちの村のビニールハウス群を生み出しており
政府が計画して、大規模産地を作ったわけではないことを強調した。
そのような計画で立てられた産地がうまくいくこともあるかもしれないが
それはその自然的条件と市場的条件の両方を
たまたま(意図的であれば素晴らしい)兼ね備えたから成功しただけで、
途上国などで見られるような失敗例、
特に中心となった企業や工場などだけが大儲けして
それに付随して移住してきた農民がうまくいかないケースなどに
つながっている話も少しではあるが、出来たと思う。

見学に入る前に、ある宿題を見学者に出した。
“ここを見学して、あなた達の目線で僕の農業の改善点を必ず指摘してください”
というもの。
2時間の現場視察なんて、ぼーっとしていたら、何も残らないで終わってしまうのだ。
こうした課題があったためか、質問も良く出て
それなりに有意義な議論ができたと思う。
最後に、改善点としては
「ハウスの出入りが無防備。人も虫や病気や草の種を運ぶ媒介者となるので、そのための措置が必要だろう」
「鶏小屋とハウスが近すぎる。鶏のダニなどが影響はしないのか」
などなどの意見が寄せられた。

こうして無事にアフリカ人を見送ったのだが
見送ってから一つだけ話さないといけないことを忘れていたことに気が付いた。
それは、有機的農業をそれぞれの国で展開するためには
その農業を推し進める主体である農民の農地所有の意識である。
小農の多くが、農地を借りており、その権利があいまいであることや
また収穫物も地主に多くを納めないといけないケースが多い。
そういった中で、今日よりも明日を考えての有機的農業は発展し難いのである。
うちの農園を見学に来たアフリカの方から、
「ここでは簡単に有機農業ができそうですが、わが国では虫の害がひどいので出来ません」
と言われたのだが、
確かに虫の害も多いだろうが、だが、それだけではあるまい。
あいまいな権利としてか借りられない農地を
その期間内に、出来るだけ収奪しなければ今日を生きていけない。
小農がおかれている、そんな現状こそが
小農の生存戦略として有機的農業に向かわせないのであろう。
今回の研修で、各国のお役人さんが来ているのであれば、
自国の農民のために、法律的に土地の耕作権を確立し、
有機的農業をやろうという小農の農地を保証することこそ、
あなた達ができる最大の農民支援であり、
自国の持続可能な農業に寄与するものだろうと愚考する。

今回の受け入れの世話人である方に
夕方、この件だけをメールで伝えたのだが、
はたして、アフリカの方々に伝わっただろうか。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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