食べることから考える。
これは僕の農業のコンセプトの一つ。
就農したばかりの時は、まず流通と販売があってからの生産、と考え
現在の作物や農業の形態になってきていたのだが、
もう一歩踏み込んで、食べることから考えてみようと
ここ数年は思っている。
ただその多くは、なかなか経営の中では数字に結びつかないものばかりだった。

食べることから考えるのは、
なにも面白い野菜や珍しい野菜を栽培することじゃない。
作る側の手間や価値観以上に
食べる側の価値認識に近づき、美味しいと思うものを提供しようというもの。
だがこれが難しくて、美味しいと思ってもらえるものでも
流通と言う情報が分断されていく過程の経路を
農産物が通ることで、作る人と食べる人との間で
情報が共有できないでもいた。
その代表格が、食用ホオズキ。

ホオズキと聞いたらみなさんは何を連想しますか?
あの赤くて食べられない(食べてもおいしくない)実を
だいたいの人は思い浮かべるのだと思う。
だから、スーパーの売り場で、“フルーツ”などと
ちょっとした名前を冠したところで
僕の栽培しているフルーツホオズキは、あまり売れなかった。
僕の想いが、スーパーの売り場まで情報として届かないからである。
買い手の想像と認識で、僕のフルーツホオズキは
あの赤くて食べられない実の仲間だと思われていたのだから。

これまでの僕流のやり方でいけば
フルーツホオズキなんてさっさと作付けをあきらめて
もっと一般的に価値が認識できそうで、それでいて面白い野菜を探すのが
普通だったのだが、
なぜかこのフルーツホオズキにはこだわってしまった。
妻が、
「農家と結婚するのなら、どうせなら果樹農家の方が楽しかっただろうなぁ」
などと、結婚した当初に、無邪気に言ったのが
僕の心に残っているからかもしれない。
が、そんなことはどうでもいい。
売れないものを作らない主義で
売る農業と食べる農業をこれまで分けてきた僕だったのが
最近は、食べて美味しいものを提供すべきなんじゃないか、
情報の分断される流通であっても、それに挑戦し続けるべきじゃないか、
などと、身の丈に合わない考えで
ホオズキを作り続けてきた。
実は、これは食べる側の論理ではなく、
作る側の論理であることも、今は重々承知している。
食べることから考える、というコンセプトの主語が
微妙に自分の中で変化してきているのも感じる。

「石の上にも三年」という言葉がある。
僕はこの言葉が好きで、
協力隊も2年の任期だったのだが、1年延長し、
3年間インドネシアの僻地に過ごしていたのは余談だが、
何事も辛抱してやり続ければ、何かが見えてくる、というこの言葉が好きだった。
3年というは、本当に3年という意味ではなく長い期間と言うことなのだろうが
すでに丸3年挑戦し続けてきたフルーツホオズキに
少しは光が当たり始めたのも事実。

先日は新聞で取り上げられ
今週火曜日にはラジオでもほんの少しだが取り上げられる予定でいる。
ちょこちょこと注文も入り、
現在出荷在庫がほとんどない状況になってきた。

情報の伝達とイメージの醸成。
これは僕には到底できないことで、
石の上にも三年、といったように
我慢強くやり続けるしか能がないのだが、
情報やイメージを社会の中で醸成できる人間が、
新しい価値を生み出し続けられるのかもしれない。
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友人の農協職員に食用ほおずきを生産している農家さんを紹介していただけそうですよ。是非視察にいらしてくださいませ~。

おおおお!ノナさん、terima kasih bangaaaaaat!!!

そちらではいつ頃にホオズキを栽培しているのですか?
それに合わせて、そちらに遊びにいく計画を立てたいと思います!!
栽培から販売まで聞きたいことが山ほどあって
絶対行きますよー!!!
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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