うちの農園のスタッフであるセネガル人のI君から
「中古のポンプがほしいのだけど、どこで手に入る?」
と尋ねられた。

中古じゃなくても小さいものであれば、
ホームセンター等で廉価で手に入る。
しかし、I君がほしいのはそんなものじゃなかった。

I君夫妻がずいぶんとお世話になったという在日セネガル人が
母国に戻って農業をすることにしたという。
どういういきさつかは、詳しいことは僕にはわからないが
すでに農地10haは準備済みだとか。
その在日セネガル人は、母国セネガルに帰国するにあたって
性能がよい日本製の農器具を中古で安く手に入れて
それを大量に持って帰ろうというつもりだったらしい。
そこでI君にも、安いポンプが手に入らないか?と問い合わせがあったらしい。

中古のポンプを探すには、
関係する業者に電話して、そういうものがあるかどうか問い合わせれば、
あるいは手に入るかもしれないのだが、
僕はすぐにそれをする気にはなれなかった。

なぜか?
答えは、
日本製の農器具では、セネガルでメンテナンスができないから。

農器具は、買ってそれでお終いというわけじゃない。
農業という自然との格闘に使う器具は消耗が激しい。
その消耗部品を常に交換しないといけないのが、農器具なのだ。
だからI君に
セネガルには日本の農器具会社はあるかどうかを尋ねてみた。
答えは否だった。

中国とフランスの農器具会社はあるらしいが、日本のものはないとのこと。
それであれば、なにも日本の農器具を持って帰らなくてもいいんじゃないだろうか。
何時でもメンテナンスのきく、
現地で手に入る農器具のほうが、ずっと長持ちするはずだ。
それをI君に伝えると、I君は
「だいじょうぶ。セネガル人なんでも直す得意」
といって、聞く耳を貸さない。

かつて僕が住んでいたインドネシアでも同じような悲劇を
僕は何度も見てきた。
あるインドネシア人が日本から持ち帰ったというハンドトラクターが
交換部品が手に入らなくて、結局放置され畑のわきでオブジェ化していた。
たしかに日本製の農器具は、それなりに性能は良い。
使い方次第だが、比較的長持ちもする。
しかし、消耗部品はどんなに大事に使っていても
ある時期が来れば、交換しなければいけない。
その時に、その部品が手に入らなければ、
結局、I君の友人のセネガル人が買ったポンプも
いずれは畑のわきで、オブジェ化してしまうだろう。

お金があるのなら、セネガルで手に入るフランス製の農器具を買うと良いよ。
と、僕はアドバイスしたのだが、
I君はなんだか釈然としない様子だった。

日本製は性能がいい。
中古だと廉価でも手に入る。
なんとかそれをセネガルに持って帰って農業をしたい、
と考えているI君の友人は、
農業経営の初期投資の考え方に間違いがあることに気が付いていない。
彼がどういう農業を母国でしようと考えているのか知らないが
そんな勘定の仕方をしているようでは、
きっとうまくはいかないだろう。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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