自家用の野菜を栽培している菜園がある。
春、そこにキュウリを2本ばかり植えた。今、収穫最盛期。毎日、毎日、キュウリが3本から4本ほど採れる。採り忘れもあり、インドネシアのキュウリのように巨大化したものも、結構ある。この前の3連休、東京に行っていたものだから、でっかくなったキュウリは10本。自分と家族では食べきれず、お裾分けも散々したが、一部は鶏の餌に。

初めの頃は、妻はそれらの収穫物を喜んでくれたが、今ではちょっと迷惑そう。食べるのが追いつかなくて、冷蔵庫はキュウリとナスだらけ。妻は、『自家用の野菜なら、キュウリは1本だけ植えればいい』というが、病気で木がやられてしまう事を考えると、どうしても2本植えたいのが人と言うもの。無農薬で作っているものだから、そういうリスクはなおさら高いし。

そこで最近、我が家の食卓はキュウリとナスで溢れかえっている。生では食いきらないので、火を通す料理にも使っている。妻があれこれと工夫をしてくれて、イタリア料理にしたり。最近のヒットは、夏野菜カレー。キュウリ、米ナス、ナス、かぼちゃ、トマト、ししとう等々、自家用菜園で際限なく採れる野菜たちを一斉に放り込んで、妻が作ってくれた。絶品だった。

これまでもちろん自分で作った野菜を自分で食べていたが、自分が食べるためだけに野菜を作ったことは無かった。今回、娘が産まれて、それで出来るだけ無農薬で野菜を食べようと思い立ち、自家用の菜園を用意して野菜をあれこれと作っている。その菜園で取れた野菜は、売り物じゃない。ただ自分と家族が消費するためだけのもの。

で、思ったこと。食べるためだけに作った野菜は、『多収量』だと感じること。無農薬有機栽培だから、ではない。別段、量的に多くなったわけではない。それどころか、たぶん売るために作ったのなら、もっと収量がおおくないと、いわゆる『割が合わない』だろう。では、なぜ多収量?それは、たかだか2本ずつ植えられた野菜の木から成る収穫物が、食いきれないからである。菜園は、本当にちょっとした面積だけなのだけど、そこで採れる野菜が食いきれない。おかしなもので、売ろうとして栽培している野菜は、1.4haほど作っているが、時々、収量が伸びないなぁ、などと思うこともある。それは多分、一束100円にもならない菜っ葉を一所懸命束ねて、そこから得た所得で満足感を味わおうとしているからかもしれない。お金に換算してしまうと、『割が合わない』という考えがもたげてくるものである。ただただお腹を満たしてくれる野菜たちは、『沢山とれたなぁ』と思うもの。

食べきれない野菜は、どんどんお裾分け。でもこの時期、隣の畑でも夏野菜で溢れかえっている。どうしても余る野菜は、鶏に。そして卵となって手元にもどってくる。単純なことなのだが、社会的にも生物的にも循環の中に自分が在る満足感、そういうものを最近感じている。

だからといって、市場経済を否定するわけでもない。一日の労働の大半は、商品作物生産のために汗をかいている。お金がすべてではないが、お金じゃないと交換できないものもある。でも、それがすべてになっているのは、やはりさみしいし、どこか変。できれば自分の中では、市場経済にはもう少し引っ込んでいてもらいたい。

国際開発学会の発表で、タイの事例があったが、そこでは足るを知る経済の一環として、域内流通強化のために、農民が各自で自家用の菜園を作るというのがあった。商品作物ばかりを栽培していて、食料のほとんどを域外から輸入に頼るタイの農村。そこで始めた自家消費用の菜園プロジェクト。経済効果などなどの面で、プロジェクト実行側(コンサルタント)はドナーから非難を受けているらしい。

しかし、僕は思う。一般化できないし、ただの僕の想像でしかないけど、もしかしたらそのタイの農民も、僕が今感じている満足感を感じているかもしれない。そしてそれはドナーにしてみたら、取るに足らないことかもしれない。僕にとっては、『こんなにもすばらしいのに』と思うことであっても。
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今夜、夏野菜をご馳走になりに行きます!!!

でも、社会的にも生物的にも循環の中に自分が在る満足感を味わえていないので、ちょっと羨ましく思ってこの文章を読ませてもらいました!

yamatoさん

金曜日は楽しかったです。また遊びにきてね。
夏野菜の料理はどうでしたか?といっても、僕が調理したのじゃないのだけど。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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