へこむことがあった。
インドネシア農業研修生のHくんの母親が亡くなったのだ。
H君は僕の前では気丈にふるまっていたが、
H君が仲良くしている同じ研修生仲間から電話があり
「彼が母親を失ってわんわん泣いている」と教えてもらった。

母親が亡くなったという知らせをもらった時
即、一時帰国を促したのだが、H君は
「その必要はない」と言うばかり。
そこで、留学時代からの友人で、
この研修事業の農村調査を担当してもらっているアニ女史(インドネシア人)に
相談をした。
彼女は、H君と同じエスニシティ(スンダ民族)で、
同じイスラム教なのである。
アニ女史曰く
「ここらの場合、人が亡くなったら、午後4時前であればその日のうちに埋葬してしまうのが常。4時以降でも、次の日の早朝には埋葬してしまう。葬儀の儀式もその埋葬時に行ってしまうので、本当に身近にいる親族や友人しか葬儀(埋葬)には参加できないのよ。H君の場合も、彼の意思決定を尊重すればいいと思う。帰りたければ帰ればいいけど、帰らなかったからと言っても支障はないはず。メンタル的にはつらいだろうけど」
とのこと。
H君の母親は、H君が幼いころに父親と離婚し、その後即再婚している。
そういう事情もあり、H君自身が母親の所に帰りにくい環境であることも
H君が帰ろうとしない理由でもあるようだ。

インドネシアの研修生は、研修期間は3年間。
いつかこういうこともあるだろうとは思っていたが
まさか、一人目でこういうことがあるなんて。
僕の企画する研修で、親の死に目に会えない子を出してしまったことに
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

一緒に働いているセネガルのI君もちなみにイスラム教。
I君も
「人が亡くなったら、即埋葬してしまうから、急いで帰ってもお墓しかない。意味がない」と言っていた。
日本の場合、実子が戻るのを待って葬儀が執り行われるのだが
随分と差があるようである。

帰らないと決心したH君。
だから僕は彼の決定を尊重して、もうこれ以上は言わない。
残りの研修期間が、彼にとって素晴らしい時間になるよう
僕は研修内容の充実に全力を尽くすだけなのである。
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H君、お母様の最期を見とどけることができず、ほんとに悲しく、くやしい思いでいっぱいだったと思います。

昨年の暮れに義母が亡くなったとき、うちの主人もH君と同じ、帰らないと…。
インドネシアを離れるとき、覚悟はしていたようですが、私達もやはり言葉にはできない悲しみでした。

でもお母様は、日本で頑張っているH君をずっと見守っていてくれるはず。
H君の日本での研修が実り多き時間でありますよう、私達も心からお祈りしております。

悲しみに負けず、がんばれH君!!

M cahyadi さん

そうですか、旦那様もお母様が亡くなられたときに
帰国されなかったのですね。

僕が海外に居た時は、自分自身のことでそういう覚悟はいつもしていましたが、人を受け入れる立場側で、そういう子を見ているのは辛いです。

それだけの犠牲を払っての研修ですので、少しでも有意義な時間になるように、僕も一所懸命努めたいです。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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