何気ない一言だった。だからこっちも、『ああ、そうですか。わかりました』と答えた。それでもしばらくして、おや待てよ、と思うようになった。昔に味わったほろ苦い思い出と共に。

本日、農業普及員が来て、来月の火曜日に若手農業者クラブの例会があるとのことで、その出席をお願いされた。それで何気なく、わかりました、と答えたのだが、はたしてそれは正しいやりとりだったのだろうか。

若手農業者クラブは、別に県が主宰しているものではない。もともとは4Hクラブだったので、全国組織の支部だったのだが、5年ほど前に全国組織からは抜けて、任意クラブになっている。だから県主導でこのクラブの面倒を見る必要は無いはず。

クラブの中にも事務局長の役職がある。以前、インドネシアに留学に行く直前まで、僕がその役職にあった。その以前から、例会の準備はクラブ員が自主的にやるのではなくて、普及員がおこなっていた。その時から、おかしな組織だなぁ、と疑問に思っていた。そして同時に、自分もそれと似た経験をしている事を思い出したものだった。今日は久しぶりにそれを思い出した。それは協力隊でインドネシアに行っているときだった。

村で農業に関する会議があって、その会議に出席してもらうために、協力隊だった僕は、何人もの農家に頭を下げて回ったものだった。本当はその会議は、僕のためにやっているのではなくて、農家のためにやっているにも関わらず。だから農家側からも、会議について、お菓子がないだの、お茶がでないだの、日当はないのかだの、散々文句を言われたものだ。そういう会議をやること自体、なんの意味があるのか解らず、しばらくして僕は会議を自主的には行わなくなった。やりたけりゃ、やってもいいよ。ある意味、尊大な態度に出ることにした。その態度自体に問題はあっただろうけど。

今日来た普及員は、本当は僕たちクラブ員が準備しなきゃいけない例会を代わりに準備して、しかもクラブ員に頭まで下げて、出席をお願いしていた。なんだか懐かしい姿だった。8年ほど前の自分の姿もそうだったのだろう。

クラブに自主的な活動がない、と嘆く声もある。それは細かい話かもしれないが、こういう普及員との普段の関係の中で、関係性が意識され、それに意味づけがされ、そして自主性というものも同時に摘み取られているのかもしれない。本当に細かいことかもしれないけど、その細かいところが、すごく大事に思えてならない。
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この日記を読んでちょっと懐かしい感覚を取り戻しました。
職種が変わって人との関係作り・会話が『仕事』となりつつあり、大切にしたいけど『こなし』的な自分の中のマニュアルに沿った受け答えとなりつつありました…言い訳だけど、週末のお客さんの数を見てもらえばば分かるハズ!!!
もっと対人関係に対して初心に戻らなければ!って感じる今日この頃です。

ちょうど・・・

今日、協力隊ン時の話をしたとこで、
農家でお茶とかお菓子とか用意した講習会のことも紹介しました。

農家が主役なんだけど、自ら勝ち得た役じゃないから彼らは受身だったのか・・・?

こちらもちょうど

yamatoさん
この日記が、いろいろと思い出すきっかけになったのは、うれしいです。忙しいでしょうが、ぼちぼちやってください。

ちかばぁさん
うーん、どうなんだろう。受身とは思わんけどね。講習会でも会議でも、それに利があると思えば、うまく利用していたとは思う。それに今の僕も、地元の若手農業者クラブを、たまに若手で集まって憂さ晴らし、というくらいの意味でしか捉えてなくて、その分にはそのクラブは、僕にとって有益。でもでも、それを外から見ている人が同じように見ているとは限らんからね。

協力隊で3年目の話だけど、その時はこちらが企画する講習会はやめにした。ただ、いろいろと話し合う場は作った。その1つがバルーの消費者団体と農家との話し合い。アリサンの度に集まる奥さん集会に、農家のおっちゃんと押しかけて、あれこれとくっちゃべっていた。その中で、無農薬という話がでて、その研修をしたいからと農家側から言ってきて、さらにその場所も彼らが見つけてきていた。僕はそこと連絡をとって、車を手配しただけ。当日は、農家がガソリン代・昼食代を用意し、しかも見学側への謝礼も農家が準備していた(それ以前の見学であれば、うちらがそれらを準備し、さらに見学参加の農家に日当まで払っていたよね)。あれには驚いたし、そういうものか、と納得もしたよ。講習会や見学・研修は、見た目はどれも同じで、当然農家が主役と言えても、一体誰がそれを本当にやりたいものなのか、そこが重要なんじゃないかと思うな。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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