日曜日が、村の祭りだったので、
インドネシア人研修生の授業ができなかった。
なので、今日が振替え日。
今回は、宿題のレポートの議論から。
前回の講義で説明した直売所の形態それぞれを
インドネシアの社会で実施しようとしたとき、
どういう利点と問題点が浮かび上がるか、をレポートとして出していた。

インドネシア研修生のH君が、もっとも将来性を見出したのが
スーパーマーケットなどの一角に、地元生産者の直売コーナーを設ける
という形の直売所だった。
といっても、誰でも参加できるものではなく、スーパーと契約した農家しか
出荷できないものがいいだろう、とH君は言う。

講義では、近所のスーパーの取り組みを説明した。
そのスーパーでは、登録をすれば誰でもスーパーの直売コーナーに品物を
置くことができるのであるが、
H君はそれをよしとはしなかった。
「誰でも品物を置けるようにしてしまえば、インドネシアの場合、近くの市場と同じになってしまいます」という。
インドネシアの市場では、大野の七間朝市のように
生産者が敷物などを引いて、露天形式で直接販売している。
H君が言うには、
「スーパーの中で誰でも置けるような直売コーナーを作っても、メリットを感じない」
とのことだった。
そういう農家なら誰でも置けるようなコーナーであれば
消費者は市場で買い物をするんじゃないだろうか、というのがH君の考えだった。
なので、
珍しい野菜や栽培が難しい野菜、またクオリティが高い野菜を生産できる生産者だけが
スーパーの直売コーナーに出荷できる方がいいだろう、と考えたようである。

日本とインドネシアとでは、社会的文脈がまったく違う。
日本でもスーパーやデパートなどによっては、客層がちがうのだが、
インドネシアでは、その違いがより一層大きい。
金持ちばかりが通うモールやスーパーもあれば、
そういう人たちはあまり足を踏み入れない市場もある。
(金持ちの使用人が代わりにアクセスしている場合が多い)。
そういう市場では、より大衆的で、同じ野菜でもスーパーのそれより値段も安い。
H君曰く、
「スーパーで野菜を買うのは、金持ちです」
だそうだ。
だから、値段が高くなるような生産が難しい野菜を出荷できる農家限定の
直売所の方がいいと思ったようだ。

なるほど。
そこで、1つ質問をした。
なぜ、金持ちはわざわざ高い金を払って、同じ野菜をスーパーで野菜を買うのだろうか?
H君は、市場は汚いし人が多くてごみごみしているし、などなどの理由をつけたが
僕が思うに、それはそのスーパーに対する「信頼」ではないだろうか。
H君は経済的な理由で、スーパーの直売コーナーは、
インドネシアの一般的な市場と差別化をはかるためにも
技術力の高い生産者に限定するべきだ、としていたが、
消費者の視点から見れば、それはそのスーパーに対する「信頼」が
そのスーパーでの買い物をする行動の原理のようにも思える。
だから、僕もH君の答えは否定しない。
品質管理ができない農家の出荷を認めれば、
そのスーパーの信頼を大きく損ねることにもなろう。
結果としては、僕の答えもH君の答えも同じ解なのだが、
その導き出し方には大きな違いがあるようだ。

直売所の講義はここまでにするつもりだったのだが、
経済的な視点なのか、それとも食の安心安全(信頼)の視点なのか
もう少し議論を交わしてみる必要があるようだ。
来週の講義は、もう少しその辺りを突っ込んで議論をしてみようか。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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