週末は、以前書いたエッセイのお引越し・・・




Let’s Study English!

pete pete
走り去るペテペテ


アレジャンには様々な人がすんでいる。
今回は、おつりの計算をよく間違えて損をする、
気の良いペテペテの運転手シャムスディンを紹介しよう
(ペテペテを知らない人は、第1話生活編を参照されたし)。

シャムスディンはアレジャン生まれ。
しかし小学校を出た頃から、親と一緒にマレーシアに渡った。
出稼ぎである。
インドネシアの義務教育は小学校と中学校の9年間。
しかし農村では小学校6年生が終れば、社会に出る子も少なくない。
シャムスディンは親についていったというよりも、
彼もまた出稼ぎの働き手としてマレーシアに渡ったのだった。
そして、そこで濃厚な青春の時間を過ごした。

アレジャンに戻ってきたのは、98年の乾季の終わり。
私が協力隊として1年が経つか経たないか、といった頃だった。
長年の重労働にもかかわらず、
彼はこの辺の人たちが持つ明るさといい加減さを十分に備えた好青年として育っていた。
そして濃厚な青春の時間は、彼に大金を与えていた。
彼は車を買った。薄青いスズキの車だった。
通称ペテペテ。
エンジンは1000ccで軽のワゴンよりも少し大きめの車である。
村と村を結ぶ重要なスラウェシの足なのだ。
もともとアレジャンには1台しかペテペテが無かったので、
シャムスディンのペテペテは皆に喜ばれた。
しかも、彼は計算が弱い。
おつりを多く渡す事があるのだ。
大抵の村人は多めにもらったおつりを返すのだが、
キバタ(第16話キバタ編参照)のような連中は返さない。
シャムスディンのペテペテは、いつも若者に繁盛していた。
そんな彼だが、1つ特技があった。
それは英語である。
マレーシアで外国の木材業者と話をする機会があって、彼は英語を身につけたと自慢していた。

そんなある朝。
私は出勤のためにペテペテに乗る。
集落長の家の前で、ペテペテの来るのを待っていると、
シャムスディンのペテペテが来た。
彼がペテペテを購入してから随分経つが、私はその時彼のペテペテに初めて乗った。
すると彼は、『ハウユ?・・・・ハウユ?』と訳のわからない言葉で、話しかけてきた。
ハウユ?
ブギス語でもなさそうだ。
かといってインドネシア語でもない。
わからないまま、きょとんとしている私に、彼は嬉しそうに言った。
『なんだ、田谷も英語わからないのか。他のやつらと同じだなぁ。よし、俺が教えてやるよ』、と。
へ?えいご?ハウユ?
ますます混乱する私をよそに、彼は説明し始めた。
『ハウユ?はご機嫌いかが?の意味さ。How you?って発音するんだ』と得意になる彼。
私の知っている英語では、確かHow are you?だったような気がするのだが・・・。
彼はつづけた。
『You Go?・・・・You Go? これも知らないのか?これはどこに行くのか?って訪ねる時に使うんだ』。あのう・・・Whereがないと何のことかさっぱり・・・。
『田谷は今からバルに行くんだろ。そんなときは、Go バル!って答えるんだ。いいか、もう一回行くぞ。You Go?』。
Go バル、とつられて答える私。
彼はその後も嬉しそうに彼の言うところの英語というやつを使って、しきりと話していた。
しかし、どれ1つとっても理解できるものは無かった。
おかげで私は英語ができないと村人の間で評判になってしまった。

その後、彼はペテペテの中で英語のレッスンを村人相手に続けたようで、
村の若いやつらが、私を見ると『ハウユ?』や『ユウゴ?』と
意味不明な言葉で話し掛けてくるようになっていた。
アレジャンでは、アレジャン語があり、挨拶は『ハウユ?』である。
諸君も機会があってアレジャンに行く時には、覚えていかれると良いかもしれない。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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