インドネシアの留学生を預かっている。
今日はその2日目。

地元農林高校で留学の担当をしている先生から、
この農家研修中に、
「留学プログラムについて、留学生にヒヤリングをしたい」と
言われていた。
そこで、今日は、農林高校で留学の担当をしている先生を呼んで、
H君と留学生の3人が、インドネシア料理を昼食として振舞うことにした。
ランチタイムをかねて、ヒヤリングもしてしまおうというのが
僕の考え。
なにせ、毎日、目が回るように忙しいのだ。

留学生たちが作った料理は3品。
鶏肉と野菜のスープ
イカンゴレン(焼き魚)
ミードック(麺を卵で閉じた食べ物)。
どれも見た目はインドネシア料理だったのだが、
調味料は日本のものを使ったので、味はどれも日本風ではあった。
留学生の女の子が陣頭指揮をとって作ったようで、
いつもH君が作ってくれるインドネシア料理よりも
味に幅があり、美味かった。
(ちなみにH君は、今のところ、野菜スープしか作っていない)。

さてヒヤリング。
留学のプログラムでの不満や良かった点などを留学生に自由に話してもらった。
一番にあがったのは、「言葉」だった。
留学期間が2ヶ月と短いこともあり、日本語で意思疎通が出来るまでに達せずに
留学が終わってしまうのである。
学校の座学も理解できない様子で、テキストも漢字が多用されており
留学生には、まったく読解不可能なのだ。
ただ、言葉の問題は、本人の努力次第なのだろうし、
そもそも学位をとる留学ではなく、交流事業の一つとしての留学なので、
親睦が深まれば、それでいいのではないか、と僕は考える。
担当の先生も同意見だった。
ただ、インドネシアの子たちにとって、留学は少ないチャンスなんだろう。
それを少しでも活かしたい、と強い思いがあることは、
ヒヤリングから汲み取れた。

次にあげたものは、学校での実習だった。
農場での作業実習なのだが、毎回作業ごとに圃場が変わり、しかもその実習以外には、
その圃場と関わらない、という地元の農林高校の実習システムに
留学生たちは、疑問を抱いていた。
彼・彼女曰く
「おもしろくない」
だそうだ。
技術的には、インドネシアのそれとは違うので、実習内容はおもしろい
のだが、作業ごとにしか、その作物に関わらないため、
作物の全体像が解らない、とのことだった。
「私たちがやっている実習の方が面白いですよ」と留学生は言う。
留学生の農林高校では、期間は限られているが(1月から4月まで)、
その期間内、学生たちでグループを作り、学校が貸し出している圃場を借りて
農業をするという実習がある。
Swakaryaと呼ばれるプログラムで、少なくとも西ジャワ州の農林高校であれば
どこでも、このプログラムをしているとのこと。
面白いのは、グループのメンバー(学生)が、種代から肥料代・農薬代といった
必要経費をみんなで出し合うことである。
学校は圃場を無料で貸し出すのみで、他の準備はしない。
学生たちで何を植えるか決めて、それに必要な資材を自分たちのお金で購入するのである。
もちろん、販売も自分たちで行うとのこと。
儲けが出れば、グループメンバーで分けるらしい。
損をしても、だれも補てんはしてくれない。
かなりシビアなプログラムである。
1グループにつき、2名の担当教諭がつき、栽培指導から市場調査までアドバイスをする。
担当のグループに損がでれば、教諭の恥になるらしい。

何を作るのも自由なので、学生たちは思い思いの市場調査を行い、
そして栽培も試行錯誤で行い、収穫できた作物には、それぞれで値段をつけて
市場で売ったり、住宅地をふり売りして歩くこともある。
もっとも実践的で、農家を育成するには、なんとも素晴らしいプログラムではないか!
留学担当の先生と僕は、留学生やH君の、そのプログラムの話に聞き入っていた。

「売る時になると、朝2時に起きて、市場の場所取りをするんです。それくらい早く起きないと、いい場所が取れないし、いい場所じゃないとお客が少なくて、高く売れないんです」

「swakaryaのプログラムの時も、学校は通常の時間割です。なので、休み時間や放課後、そして早朝、みんなで集まって農作業するんです。面白いですよ。」

「儲けが出たグループは、みんなで旅行に行ったり、いい服を買ったりしています。でも私のグループは、今年は損がでて、何もできませんでした・・・」

などなど。
Swakaryaプログラムについて話す留学生たちは、とても輝いて見えた。
こんな面白い実習をしている子たちに、地元の農林高校の細切れ実習は
さぞ、つまらなかっただろう。
留学をしなきゃいけないのは、僕ら日本側ではないだろうか。
市場を知り、栽培品目を決め、その品目の栽培技術を習得し、そして売る工夫をする。
このなかに、販売農家としてやっていくための技術のほとんどが含まれている。
なんと実践的なのだろう。

留学の担当の先生は、
「うちの学校でも、栽培して販売していますが、生徒主体ではないです。何を栽培するかは、学校側が決めますし。それに販売と生産は分けられてしまっています。生産は、生物生産科が行い、販売は流通科が行います。だから、生物生産科の学生は、自分たちが作った野菜がどれくらいで売れるか感覚的に解らないし、流通科の学生は、この野菜がどういう想いで作られたのかを知らずに売ります。遅れているのは、私たちの方かもしれません」
と言っていた。

日本の僕たちの方が、勉強になった2日目だった。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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