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田植えをする。
先日の田んぼまつりとは別の田んぼ。
田植え機で植えるので、オペレーター(運転手)と
その補助をする2名だけで事足りる作業。
1日で1町歩(1ha)は、かるく植えられるのが、ここの田植えの現在。

この作業を見て、
「日本の田植えは、ずいぶん楽なんですね」
と、インドネシア研修生のH君
平野部だけの田植えをみて「日本の田植え」としてしまうのは、
少々荒っぽい議論なのだが、
おおむね、インドネシアの通常の田植えよりは楽であろう。
H君のお父さんは5反(50a)の田んぼを持っている。
ジャワの平均から考えれば、田んぼを持っている方、に入るであろう。
その田んぼは、殆んどが手作業だ。
田植えも然り。

田植えの作業には、男性もする場合もあるが、
H君の地方では、多くは女性の仕事とのこと。
H君のお父さんの田んぼでは、妻と近所のおばちゃん2名の計3名で
延々と田植えをするという。
5反の田んぼを20日~30日かけて植えるそうだ。
作業を手伝ってくれる近所のおばちゃんは、血縁者ではない。
多くのインドネシアでのシステム(ジャワ・南スラウェシ等)同様、
H君のお父さんの田んぼを手伝うおばちゃんたちは、日当で働くわけではない。
収穫作業まで、一連の作業に関わりながら、
最後に収穫物を分けてもらうことで、労働を提供しているとのこと。
7俵とれるごとに、労働対価として1俵を受け取る仕組みになっている。
H君が言うには、
手伝いに来てくれるおばちゃんたちは、とくに貧しいわけではなく
普通に田んぼも畑も持っている、とのこと。
ただ、H君のお父さんの妻は、他へは手間貸しに行かないところをみると
他の近所の農家よりもH君のお父さんは、土地持ちなのであろうと推測できる。

では、振り返ってみて
ここらの昔はどうだったのだろうか。
今では、機械化になり、手間貸しなどはない。
それも収穫まで、労働対価を受けられないシステムもあまり見受けられない。
祖父母世代までしかさかのぼれないが、
ここら辺りでは、田植えが手植えの頃、やはり手間貸しをしていた。
田植えの時期になると、田の少ないものは、手間を貸すことで稼いだという。
ただし、労働対価は収穫まで受けられないわけではなく、
半夏生と呼ばれる7月の頃かお盆前には、貨幣で清算されていたそうだ。

これらのシステムを日本では、
「結い」などと言われて、相互扶助のシステムのように美談化されているが、
H君の地方とは大きく異なり、労働を貨幣化しているところにあろう。
H君のむらや僕が見たインドネシアの村々では、
日本の昔のように、相互に手間を貸しているが、それらの対価は貨幣ではなく、
収穫物7俵ごとに1俵という、現物支給なのである。
(6俵に1俵の地方もある:労働の割合や内容によっては変化する)。
どちらが良いか、という問題ではないのだが、
同じような手間貸しであっても
かたや貨幣化されない労働として定着し、
かたや貨幣化された労働として定着しているところに、
労働の意味の違いがあるように思えてならない。
(ただし、時代の違いもあるため、その時代だけを切り取って結論付けることは、危険でもあるが)。
これらの対比により、H君たちのシステムの方が、食の安全保障上、
不作による危険回避能力が高い、や、相互扶助能力が高い、と、
いえるかもしれないし、それ以上に一蓮托生的な発想や
地主権力維持につよいベクトルが向いている、と評価できるであろう。
が、しかし、それ以上に、
労働の貨幣化とその根底にある思想について考えさせられるのである。

H君の眼差しをかりることで、
それまで余り意識になかったことに気がつくことがある。
H君が異質に感じるその感じ方をかりて、
農に対して、そしてそれを支える社会認識について、
僕の思考が深まっていくのを感じるのである。
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手間貸し

先日は田植え体験、お疲れ様でした。

最近は貨幣化されたといいますが、これは個人の考え方にもよると思います。
自分の周りでは、手の足りないときには手伝いにも行きますし、機械の貸し借りなどもあります。
現にも、先月、自分はすきを借り、今月に入って田植えの手伝いにも行きました。
もちろん、貨幣のやり取りも無く、お互いに『ありがとう。また、頼むね。』の言葉だけで、成り立っていますし。

これは、あくまで日本の農家というより産業としての一般論としての考えではないでしょうか?

自分は、あまり貨幣化に進みたくなく敬遠したいから、こんな考え方なのかもしれませんが・・・

てるさん。
コメント有難うございます!

先日の田植え体験では、良い挨拶ありがとうございました。

おかげでどろんこになっても、田んぼに大きな穴を開けても、
参加父母は気を使うことなく、楽しめたと思います。

主催者側から、ああいった挨拶があると、参加者側はほっとするもんですよね。
さすがはてるさんだ、と夫婦で話しておりました。

あと、保育園の父母からも、
「みどりクラブの人は、気持ちのいい人たちですね」
とよく声をかけられますよ。


貨幣化に対する想い、ありがとうございます。
日本の農業というより産業としての一般論、
という言葉に、いろいろと考えさせられました。
あまり貨幣化に進みたくない、というてるさんの考えに
触発されたので、自分の考えをもう少し練って
日記に書こうかと思います。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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