インドネシア研修生のH君には、
月間報告書を毎月出してもらうことにしている。
長期海外研修制度自体には、そういう制度はないのだが、
僕とH君の間でそうすることに決めたのだ。
その月の成果とそれを得るために工夫した点、問題点、質問を
H君が感じたまま書いてもらい、
さらに、インドネシアに戻ったら何をしたいか、希望を書いてもらい、
それに向けて、今月は何に取り組むべきなのか、自分で目標を設定してもらう
という簡単な報告書。

今日は、4月の報告書についてお互い昼休みを利用して議論をした。
この作業は毎月やる予定でいる。

来てすぐと言うこともあり、報告書の内容は、それほど深くない。
ただ議論する中で、いくつか面白い話も聞くことが出来た。
それはインドネシアに戻ったら何をしたいか、の議論の時だった。

彼は、地元に戻ったら「独占的な野菜」(sayuran eksklusif)に取り組みたい、と書いていた。
なので、この「独占的な野菜」とは何か、で議論になった。
どういう種類の野菜か、というよりは、
どういうことが「独占的な野菜」なのか、という議論。
H君曰く、値段が高い必要はない、という。
ただ自分にしか作れない、もしくは自分が一番上手に作れる、ということで、値段が安定しており、出荷量と需要が安定したもの、と答えてくれた。
研修に参加する前に、彼は数名のグループでパプリカの生産をしていた。
インドネシアの市場では、高級野菜の1つで、
近くの市場では売れないのだが、大きな市場では、それなりの値段になったと言う。
ただ、その大きな市場の近くには、独占的にパプリカを生産しているグループがいて、
そのグループとの競争において、いつも勝てなかったと言う。
要因としては、品質がそのグループよりも劣っていたことであるが、
H君はさらにこう分析している。
「安定的に出荷できなかったということが一番の痛手でした。出荷量も少なかったので、経営的にも輸送代が高くついてしまって、市場での価格競争に負けてしまったのです。ある程度独占できれば、値段は、少しくらい安くても、それで安定できる方が、競争力は強いと思います」。
かなり良い線をついている。
市場について、ある程度センスがあるようだ。
とかく、高く売れる野菜を求めがちなのだが、安定出荷に目が向いているのは珍しい。
品質よりも安定性が重要と語るあたりも、なかなか良い。
(品質は当然大事だが、経営的に見て、より大事なのは安定出荷である。消費者とのギャップは、農作物市場のメカニズムにおいて、まさに貨幣化して交換される価値とそれを支える思想のギャップともいえよう。が、これはまた別の問題。これらを混同してしまえば、経営の多くは行き詰ってしまうだろう。少なくともそれに代わる思想とシステムをある程度の人々で共有しない限りは。僕はその思想の実現にも興味はあるのだが・・・)。

これからが楽しみな若者だ。
とりあえずその独占的な野菜を実践している事例(僕のベビーリーフも含む)を
彼と一緒に考察してみようと思う。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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