加藤 剛 編著 『国境を越えた村おこし』:日本と東南アジアをつなぐ.2007年.NTT出版.

インドネシア人研修生を受け入れるに当たって、今後この活動をどう広げていこうかを考え、手に取った本。

本書では、六つの村おこし活動の記録が収められている。地域は東南アジア。活動内容の多くは、植林や入会などの環境保全系である。地域研究者が研究としてだけでなく、それぞれのフィールドで、村おこしをしていくという関わりを記録している。

それぞれのエッセイの中で、フィールドワーカーとして求められる資質の鍵が散りばめられている。東ティモールでコーヒー栽培による村おこしのエッセイでは、著者は文化や歴史・風土が違う地域の「つなぎかた」にこだわり、その中で、対象フィールドの村人のエンパワーメントにつなげている。価格よりも、自分たちが生産したコーヒーがどう飲まれているか、どう評価されているかを村人が知ることが重要だと指摘している。
島上のエッセイでは、日本とインドネシアという異なった地域ではあるが、入会を通じての経験の交流が描かれている。その中で、近代的土地所有と伝統的なむらの自治(入会も含む)とが相容れないものであると指摘し、近代的思考の中で辺境に置かれてしまったむらの自治を、ローカルなお互いの交流を通じて、自らを中心にもってこようという試みである。
これら六つのエッセイに通底していることは、対象者である村人を「何もできない可愛そうな人」と捉えず、関わりの中で外部者も大きな変化や成長があることに目を向けている点である。外部者が一方的な援助者として村おこしをするのではなく、村おこしの活動を通じて、外部者と村人との成長や発展が描かれている。

ただ、本書の帯に「東ティモール、インドネシア、ベトナム、タイ、ラオス、フィリピンと日本の田舎同士をつなぎ」と書かれているが、日本の田舎が、これらの活動を通じてどう変化したのかの記述は殆んどない。これらの活動を通じて、日本の田舎の自治や意識はどう高まったのか、それが知りたかった。関係に目を向けて、一方的な援助者としての国際協力を否定する立場ならば、関わった人間や日本の地域の意識の変化に、もっともっと目を向けるべきであろう。そういう意味では、これまでの開発系活動本の域は出ていない。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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