先週の土曜日。
うちの集落で「江堀」があった。
むらの農協青年部の行事の一つ。
江堀とは、用水路の清掃(泥上げ)のこと。
3月20日から用水が入ってくるというので
その前に用水が流れやすくなるように
清掃するのである。

これが、なかなかの力仕事。
やらなきゃいけない用水路は決まっているので
人足が多いほど、仕事は楽になる。
うちのむらの農協青年部は、会員が20名。
この日は、他にむらの役員さんも出て、大勢での清掃だった。

うちのむらの青年部は、毎年、新人の勧誘をしているので、
となりの村に比べたら、30代20代の人数はだんぜん多い。
(ここ数年、僕と同年代数名で勧誘しまくっている)
のだが、今年入る予定だった新人の1人は
江堀のその日になってから突然、「出られない」と連絡があった。
諸事情あって出られないとの事だったのだが、
江堀の途中で、その人の母親と話す機会があった。
その母親曰く、
「江堀に協力をするのは良いんやけど、その後でわけなし(分別も無く)に飲むのには参加させたくない」とのことだった。
確かに、江堀では、朝から飲み、昼も飲み、
そして夜は、店を借り切って、コンパニオンも入れて飲みまくるのだ。
まさに「わけなし」の体相。
江堀の助成金が出るのだが、大抵、そんなものは1晩で飲みきってしまう。
(というか、去年も今年も赤字だった・・・)
それがうちのむらの慣わし。
ドタキャンした新人は、そんな付き合いが嫌だ、と言うことらしい。

確かに、わけなしに飲むのは、僕も賛成ではない。
だが、江堀という実質的な活動の効果(用水がスムーズに流れる等)もさることながら、それ以上に、むらの人たちで集まって何かをする、ということを大事にしたい、と僕は思うのである。
それがわけなしに飲むだけでは少し寂しい気もするのだが
さしあたって、それがむらの人たちの間では共有できる楽しみの一つだとすれば
僕は、それはそれでとても大事なことだと思う。
(実際に、僕はわけなしに飲むのは嫌いではない)

僕たちが、利便性だけを追求した結果、
結局むらが個人に対して働く力を弱めてしまった。
それは1人1人が幸せになる過程で、あるいは弱まって当然だった、
と言う人もいるだろう。
なぜなら、むらが約束するものは、最大多数の最大幸福ではなく、全員の中位の幸福なのだ(by 守田志郎)。
しかし、そのむらの持つ力によって
かつては農業やそれぞれの生業、そしてその地の暮らしが
守られてきたのも事実なのだ。
そして現在、
市民社会(civil society)などという名の一員として、
その社会の中に、自由という名のもとに、
責任と義務だけを負わされて、放り出されてしまい、
そして、それを管理されるだけの個の存在としての
虚無感がただよう社会が出来上がってしまった。
なにもそんなものと真っ向からやり合おうとは思わないが、
少なくとも、自分が暮らしている場所には
そういった虚無が流れる時間を少なくしたい、
ただそう思うだけなのである。
それには「むらの自治」が少しばかり強くなる必要がある。
その一助に江堀の活動がなれば、と僕は願いのだが。
(今は、わけなしで飲む、だけなのだが・・・)
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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