センター・フォー・エコリテラシー 著 ぺブル・スタジオ 訳 『食育菜園 エディブル・スクールヤード』:マーティン・ルーサー・キングJr.中学校の挑戦.2006年.家の光協会.

地元の農協で見かけて手に取る。丁度、今年、保育園で田んぼ体験をやることにしていたので、タイムリーだった本。

本書には、マーティン・ルーサー・キングJr.中学校での学内菜園の取り組みを中心に、同中学校における改革(カリキュラム編成、教師・生徒の意識の変化)について書かれている。学生達は、学内の菜園での作業を通して、生態学的なつながりを理解し、解説されただけの学問から体験を通して蓄積していく学びへと変化していく。学内で栽培された野菜は、学内のキッチンで調理され食される。そのため、菜園ではただ単に野菜を栽培するのではなく、食べる事から意識された「農」が展開されている。また一般のカリキュラムと菜園は有機的につながっており、数学では灌漑用水の計測、理科では光合成の理解、美術では菜園をモデルにスケッチを行い、国語ではガーデンニュースや作文を書くなどの取り組みを紹介している。

またこの菜園などの取り組みを通して、学内改革を進めてきた前校長の具体的な変革へのプロセスが興味深い。乗り気では無かった教師達をその気にさせ、「8段階投票方式」(p63)などを使い、新しい取り組みの芽をつぶさせない工夫が読むことが出来る。またフリッチョフ・カプラの解説も一読の価値あり。グループの中で絶えず新しいことが生まれてくる「創発」(emergence)が発生しやすい組織のデザインとそれを維持できる設計的構造という概念を用いて、同中学での取り組みの成功を解説している。生態学的な学術的アプローチの重要性も示唆している。

写真も多く、読みやすい。単に学内菜園だけにとどまらず、それを基点に多くのかかわりが、紹介されている。「食育」というとどうしても言葉だけが先行してしまい、何を学ぶべきなのか、すでにぶれてしまっている現在なのだが、本書ではその原点というべきものに触れることが出来る。「食べる」ということから「農」をデザインする。そしてそのなかで実体験としての学びへとつながっていく。これが本書の要点であろう。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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