ヴァンダナ・シヴァ 著 浦本 昌紀 監訳 竹内 誠也、金井 塚務 訳『食糧テロリズム』:多国籍企業はいかにして第三世界を飢えさせているか.2006年.明石書店.

副題に上げられている通り、第三世界が一部の多国籍企業の餌食になっていることを科学的に立証している本。その問題のキーワードを大まかに分ければ、次の5点になるであろう。
『構造的従属』
『知的所有権と共有財産』
『生命に対する倫理問題』
『生物多様性の破壊』
『遺伝子汚染の危険性』

パテントで固めた遺伝子組み換え種子(GM種子)を使い、モノカルチュア(単一種大面積栽培)を推し進め、それに伴う化学薬品(農薬・肥料)の大量投入。これらのことはすべて、『世界を食べさせる』というバイオテクノロジー産業のスローガンの下に行われている。しかしこのことこそ、農民や消費者を構造的従属下に置き、食の多様なあり方を否定し、そして生物多様性破壊、交雑による他種の遺伝子汚染へとつながっていく。
また、補助金をかけてダンピングをゆるす今のゆがんだ貿易構造の中において、食糧生産量と世界人口との数字の間に、健全な関係を求めることは難しい。『世界を食べさせる』ということが、如何に一方的な思想であるか、本書は明かしている。

種子は本来、人類にとって共有の財産であり、人々の暮らしの中で品種改良され受け継がれてきたものであった。しかし現在、それらの種子は一部の企業によりパテントを取得され、驚くほどのスピードで多様性を失い、我々農民の手から離れていきつつある。『世界貿易機関の知的所有権の貿易関連の側面に関する協定によって普遍化されつつある新たな知的所有権制度は、企業に対して、種子について蓄積された知識を強奪し、それが彼らの私的所有物であると主張して、それを独占することを許すのである。そしてついには種子そのものが企業の独占物となってしまう』(p22-23)。

これらの問題に対し、シヴァのメッセージは明快である。
『モノカルチュアの精神から生物多様性へ、工学的パラダイムから生態学的パラダイムへ転換すること、それが生物多様性を保存し、食糧と栄養に対する私たちの必要を満たし、遺伝子汚染のリスクを回避させるのである』(p169)。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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