本日来客あり。
商売敵といえば商売敵かもしれない。

隣の自治体の丘陵地振興政策に乗っかって、ある若者がやって来た。昨年の話である。
うちの3倍ほどの面積でベビーリーフを大量に生産して、うちの半値ほどの値段で市場に出荷するという計画書を携えて。しかも計画書にあった彼の肩書きは、中小企業診断士・他県の農業経営スペシャリスト等々。

はじめこの話を人伝に聞いたときは、戦々恐々だった。今でも、その恐怖感は拭えない。
その彼、ベビーリーフの生産を見たい、ということで、我が農園にやってきたのだ。断っても良かったのだが、どうせベビーリーフなんてものは特別な技術を使っているわけでもないので、うちを見学しなかったから栽培できないというものでもない。そんなことよりも、僕よりも若いその彼を『農業経営スペシャリスト』というなんだか恐ろしげなカテゴリの男にしておくより、実際にあって生の彼と知り合いになるほうが、恐怖感はなくなるのではないか、と考えた。で、見学を受け入れることに。

会ってみると、印象は普通の好青年。ただ見学を受け入れている立場なので、あれこれと彼について詮索はしなかった。見学後、さっそく彼の圃場で彼と会う約束をする。今度はいろいろと聞きたい事がある。県外から、また農業外から農業の世界に飛び込んでくる若者は、僕ら『農家の跡取り』にはない発想が常にある。増してや彼の場合、僕の知らない世界の肩書きばかりを持っているのだ。彼の農業に対する発想や視点、考え方を知りたい。それが僕の視点を肥やしてくれるからだ。

一緒についてきていた普及員さんは、『こうやってやってくる若者は、2人に1人しか定着してくれないんだよねぇ』と言っていた。その地域の風土は、地の人(土)だけで作られているわけじゃない。彼のようなよそ者(風)がいろんな考え方を運んできて、それらが一体になって風土になるのだ。定着するかどうか、また商売敵になるかどうか、は別として、僕ら地の人間は、もっとよそ者の考え方に敏感になり、それを受け入れていく必要があるのだろう。

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気合だ!

おいおい、そんな青年を怖がる前に、何クソ負けるもんかと思わんかい!!    
     農業は体で作るもの。まずなっとくする野菜を作ってからだろv-218

釣吉農園さん
まぁ、おっしゃるとおりですな。
僕が恐怖感と表現しているのは、なにやら知らない存在だからです。なので昨日、会って来ました。いろんな意味で、新規就農の難しさを垣間見ましたよ。ただ、やはり彼には僕らにない感覚がありますね。一緒に飲んでみたい相手ですよ。

僕ら『農家の跡取り』って?

JICA関係で不愉快なことがあったので、初めてコメントします。
「僕ら『農家の跡取り』」っていう感覚、思想って
JICA関係者には理解できないでしょう。
しかしながら、
『農家の跡取り』っていう感覚、思想を
カミング・アウトし、
言語化する必要を感じました。

山間僻地さん
初めまして。コメント有難うございます。
さて『農家の跡取り』についてですが、この日記で書いてあることを対象に話をしたいと思います。
ここで僕が『農家の跡取り』と言っていることは、農業を営みとして混乱なくその息遣いがある程度備わっているだろう人、ということです。ただ単に、農家に生まれた子ども、ではないです。あまりカテゴライズするのは好きではないのですけどね。

『農家の跡取り』は、農業という生産様式(と言っても、各農家によって様々ですが)に大きく左右された生活を幼少の頃より送っています。家の手伝いの深度が深ければ深いほど、その様式に大きく影響されています。そしてその生産様式によって作られた生活によって、価値観を育んでいきます。それが『農家の跡取り』と僕は思っています。

だから、その手の人間は、その価値に大きく左右された判断しか出来ないこともあります。当然ですよね。
外から農業をやりに来る方をみて、自分達には無い発想だ、と驚くこともあります。どちらに優劣があるわけではなく、発想や価値の違いでしかないです。

言語化とおっしゃっていますが、僕の言う『農家の跡取り』については、守田志郎などがよく書いていますので、そちらを参考になさってください。

とりあえず雑感

コメントへのコメントありがとう。
ひとつの単語『農家の跡取り』に反応して、
書き込みしたんだけど、
言語化する必要性を感じたのは、
「農家」で、
業界的には農家の「全体性・総体性」というか、
伝わりやすい概念は「農家・農業の多面的機能」かな。
っていうか、
広い意味での「農業」という生活様式が「農家」だと
言語化しました。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

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