畦の裾を掘る。

これがどういう作業なのかを文章で説明しようと、あれこれと書き試したが、文才の無さなのかうまい具合にいかない・・・。

要は、田んぼの畦ぎわ(ブロックの畦)は、トラクターでは起こせない場所があるので、それをスコップで起こす、という作業。主な目的は、除草。

久しぶりに田んぼに出て驚いたことが一つ。
前々から計画はあって、工事も開始していたのだが、新しく作っている県道がすでにうちの田んぼの傍まで来ていた事。地図でみるのとは違って、実際にすぐ傍に県道がくるというのは、なんだか異様な感じがした。その田んぼは、それまでは農道くらいしかなく、一般の車両が入ってくることはまれだったからだ。今度からは、すぐ傍らを、びゅんびゅん飛ばす車が走っていくんだろうなぁ。

さて、その県道を眺めながらの畦裾掘り。大きな道をみていると、ある不安が頭をよぎる。うちの地域が住宅地化したらどうしよう。ただでさえ村の中では、田んぼを宅地にして団地を作りたがっている連中が多いのだ。そういう議論は、これまでも何度も出てきては、その都度、消えていった。今回のこの大きな県道は、そういう議論に火をつけることになりはしないだろうか。そういう不安がある。まぁ、農業振興地区の解除はなかなか行政側も受け付けないだろうけど。

土地というのはなんとも厄介なものなのだろうか。戦後の農地改革で、農家は皆、自作農になることが出来た。うちも元は小作農で、農地改革で自作農になれた口だ。全員が自作農になるということは、素晴らしいのだが、土地の売買に個人の都合が優先される結果を生み出してしまった。

田んぼが簡単に宅地化されていくのは、『田んぼが個で成り立っているものでない』という事実との間に大きな矛盾を生むことになってしまっている。だからといって、田んぼを持っているみんなに、農業をしなさい、とは言えやしない。

では、一部の地主による農地の管理の方が妥当なのだろうか。
うーん、それはそれで問題も大きい。かつてインドネシアの大学院で、土地問題について学んだが、あちらの国では(特にジャワ島)、自作農といっても耕作面積は狭く、小作農が多い。そして一部の地主が力を持っている。それらの中には、不在地主も多く、土地のある地域の事を良く知らずに、自分の都合で勝手に土地の売買が行われているため、小作の耕作権すら確立できない状況でもある。むこうの土地問題では、農地改革を夢見ながらも、現実路線として小作農の土地へのアクセス権を如何に確立するか、が争点だった。むこうの学生や先生、はたまた少し学のある農家からは『日本は農地改革を行っているので、小作農がいないだろうから、良いねぇ』とよく言われたものだが、果たして今の状況が、彼の国から羨ましがられる状況なのかどうか。

農地を守るか守らないか、なんてことは、それこそ個人の勝手なんだろう。まわりが宅地化しないほうがやりやすい、というのは農業をする者の視点でしかないのだろう。それも勝手だと言ってしまえば、勝手なんだろう。そう思えばこそ、僕としては、『どうか宅地化の方向には行きませんように』としか、祈るしかないのである。

あとは無い頭をひねってひねってひねりまくって、『むら』というものに『総有』(共同所有)という思想を作り上げていく作業を、少しずつだがやっていくしかない。だが、その方法はさっぱり思いつかない。

そんな事を考えていたら、畦の裾掘りはいつしか終わっていた。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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