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ダニが帰国した。
ダニのいる3年間、
それは僕にとっても大きな示唆を
与えてくれる3年間だった。

ダニは当初
ビジネスプランの根本を
理解していなかった。
レポートはWebのコピペばかりで
フォントがばらばらのレポートを提出してきた。

ダニは当初
自分が主になるということを
根本的に理解していなかった。
だからいつも一つ上のデデの後ろに
隠れるようにしていた。

ダニは当初
自分の未来を自分が作ることを
根本的に理解していなかった。
だからいつも笑顔でごまかそうとしていた。

それが3年生の時に
彼が始めた葉菜類の卒業研究で変わった。
その研究も
デデが日本にいるときから課題にしていた
「葉菜類のビジネスをしたい」を受けて
たぶんデデに言われたから
ダニはそれを研究課題にしていたのだと思う。

もうあの二人の関係(叔父と甥で1歳違い)は、
どうにもならないのだろうって
僕もあきらめていた。

デデは、小学校から高校までずーっと学年一番の才子。
生徒会長も務め、地域の誉れ高き青年。
小さい時から「デデ・ベシ」(鉄のデデ)と地域であだ名がつき
根性の座った少年だった。
そんなスーパーマンが自分の母の弟で
自分の1歳上だったら、多分僕も委縮していただろう。
そんな環境をそのまま受け入れて
前に出ず、自分で考えず、がダニだった。

だが、デデが帰国してから
そして置き土産的にデデのテーマを
ダニが卒業研究として始めてから
ダニは変わった。

研究テーマや研究内容の詳細は
前回のエントリーにゆずりたい。

さて、
そこで彼と共に気が付いたことに
買い取り商人との関係性である。

これまでインドネシアの農村問題を語るときに
古典的ではあるが
買い取り商人と農家が従属的関係だという
理論を打ち崩せずにいた。
だから、ここでの授業でも
その理論に則り
少しでも農家の手取りを上げるためには
買い取り商人をいかにショートカットするか
直接販売の道はあるのか、が議論の対象になっていた。
そのためのアイテムとしてのトラックといった移動手段も
またよく検討されたし、今もその話題はたびたび出る。

しかし、
その見方がある意味どこか現実に沿わないことや
また移動手段入手の投資資金が大きいことから
その関係性が固定的に認識され
抜け出せないといった閉塞感も議論の中であった。

実際、
これを改善しようという国際機関の農村開発プロジェクトは
今もまだ健在で、というより主流の一つかもしれない。
それについて僕は何かを言えるほどの知識はないが
ただ感覚的におかしいということだけを
引きずってこれまでやってきた。

そこから解放してくれたのは
ダニの研究だった。
土地の投資額と商人の買取方法と栽培方法、労働力の4つを
細かくシミュレーションしてみると
必ずしも経営体の中で、単位面積当たりの単価が一番高いことが
一番いいとは言えないことに気が付いた。
経済学の人から見たら、今頃?と思われるかもしれないが
なんせ実習生の認識に沿って歩んでいるので
彼らが思いつかないことは
僕もなかなか思いつかなくなっているのが
このやり方の弱点でもある。というのは余談。

で、ダニは常勤できる労働力と
天水に頼らざるを得ない現状を考えて、
雨季にのみ人員を増やせないのと、
3か月の雨季の間にどれくらい畑を回せるかを考えて
買い取り商人に収穫人を連れてきてもらって
販売するやり方を選択しようと考えている。
それでも土地の投資額は十分ペイするようで
この方法で行けるのならもう少し土地を買い足しても
労働力的にはいけるんじゃないかって考えるようになっている。
つまり買いたたかれるのではなく
買い取り商人の収穫サービスを利用して
収穫は下請けに出して
決まった期間で回転数を上げて荒稼ぎしようって
そういう計算を農家がすることが可能になるってことを
示唆してくれた。

ああ、ダニ。
ありがとう。
僕はこれまで20年近く悩んでいたことの一つが
君の研究で氷解したよ。
それが可能になる投資額がどれくらいなのか、も含めて
技能実習生の意味が
ますます高まったと思う。

ダニの研究から
僕らはまた一つ、勝利の方程式を手に入れることができた。

ダニ、Semoga Sukses!









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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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