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今年の1年生は、やる気旺盛だ。
と書くと、ことアリフについては
スタッフの間で誤解があるかもしれないが、
行動の結果からみれば、
やはりそれは自身の営農に
真摯に向き合っている結果だろう。

ダダンに続き
アリフもこの1年で貯めた資金を
投資に向けようとしている。
彼の地域は、お茶畑の広がる高原で
温帯野菜も育てることの可能な
農業の盛んな地域だ。
彼はそこで価格の安定しているお茶畑に
投資をしようとしている。

これまで同地域から来ていた
レンディ(7期生)、デデ(9期生)、ダニ(10期生)も
それぞれお茶畑を早くから買い集めていた。
その例にもれず、彼も1年生の資金でお茶畑を買うという。
広さは80a。
すでにお茶が植えてあり、すぐにでも収穫があるらしい。
お茶を売りたいというのは近所の農家で
まだ40代の働き盛りの人らしい。
どうしてそんな人がお茶畑を手放そうとしているのか?
その人自身は、大工業で生計を立てていて
妻の持ち物としてのお茶畑を手放そうというのである。
インドネシアのスンダは、
子供に分け隔てなく農地を分配する。
イエ制度ではないので夫婦それぞれに
収入源を管理している場合も
日本に比べて相対的に高い。
だからといって女性に優しい社会だとするのは
早急であるし勘違いでしかない。
自分たちの価値に合わせての評価は
意味がないというのは余談。

さて、
その大工の奥さん。
ちょっと大変な病気らしく
遺産でもらって管理していたお茶畑を
手入れすることができないらしい。
病気の治療費もかかるとのことで
思い切って手放すことにしたとのことで
それなら近所で日本に行っていてお金があるだろう
アリフにその話が舞い込んできた。

実習生にはいろんな土地売買の情報が入る。
お金を持っていると思われているからだろうが
その土地も高すぎたり小さすぎたりで
良い土地が出てくることは少ない。
アリフも今までいろんな農地の話が入ってきたが
大体は10aや20a程度で、
まとまった土地は少なかった。
だが今回は、効率よくお茶生産するにはもってこいの
面積と立地の土地で
価格もそこそこということもあり
購入を決めた。
ただ現状ではお金が足りないため
2月まで給与をためて購入するとのことだ。

ただ、心配事が二つある。
一つはそこに植えてあるお茶の樹齢だ。
売り手の話では、お茶の木はまだ小さいという。
ただそれで樹齢が若いということにはならない。
お茶の木は20~30年ほどで植え替えなければならなくて
樹齢が進んでいればいるだけ、植え替えリスクが付きまとう。
植え替えれば、収穫できる大きさになるまでの
4年間はその畑からの収入はない。
しかも植え替えのコストは大きく
投資したもののすぐに植え替えとなると
それだけの資金が準備できないケースもあり
最悪の場合、その土地をさらに安い価格で
転売しなければいけない必要も出る。

もう一つがお茶の品種。
80aのお茶畑がすべて同じ品種ならば
効率よく栽培ができるが
よくあるケースが
一斉に植え替えるとコスト高で無収入期間が長くなるため
少しずつ受けかえることが多く
その場合、植え替える時期に手に入るお茶の品種を
なんでも植えている場合もある。
このようなお茶畑は、生育を一斉にできないため
作業効率が低く、思ったような収入を得られない場合がある。

とにかくお茶畑の状況を詳しく把握し
来月のビジネスプランの中で発表してもらうことになった。
場合によっては2年生で貯めるお金を植え替え資金とし
帰国後すぐの収入のベースは3年生で貯めたお金で
唐辛子やキャベツ等の野菜栽培に回してしのぐという案もあるだろう。
80a全部を優良品種に植え替えて、それから4年もすれば
そこだけで十分食べていけるだけの収入は得られるはずだ。
しっかりと現状を把握して
多面的な農業経営が実現できるように
後押ししていきたい。

広い土地を購入できるということで
やや舞い上がっていたアリフ。
来月以降のビジネスプランが
本当の正念場だと気が付いたようで
その顔つきは引き締まっているように見えた。







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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

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