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先月の出張で
技能実習修了生たちと総会を開いた。
その中の議題の一つに
余剰金によるマイクロファイナンスの実施があった。
その詳しい過程は以前書いたエントリーに譲ろう。
耕志の会インドネシア総会

さて、
その後、3名からマイクロファイナンスに対して
プロポーザルを提出したいと申し入れがあった。
クスワント(4期生)、イラ(5期生)、レンディ(7期生)で
イラは他の資金の目途がついたので結局
プロポーザルの提出は無かったが
クスワントとレンディから提出があった。

クスワントの事業は
カフェ事業である。
インドネシア全土は知らないけど、
少なくとも今西ジャワ、
とくにバンドゥン近辺はカフェブーム。
コーヒーブームもあってか、
タンジュンサリの田舎町でもカフェが沢山出来ている。
そして実はクスワントは
日本にいる時から将来のビジネスとして
カフェを開きたいと言っていた。
丁度日本で実習している時に
今の奥さんであるハナちゃんが
料理学校のお菓子コースで勉強してたこともあり
「いつかは二人でカフェを開きたい」と言っていた。
その月間レポートは今も大事に保管してある。
だから彼から提出されたプロポーザルが
カフェ事業だったことに、僕は感慨一入だった。

実は彼はちょっと前まで
タンジュンサリ農業高校で軽食屋も経営していた。
そこそこ儲かる仕事だったのだが
家族の事情で続けられなくなり
現在はその分の収入がない状況だった。
軽食屋に比べて事前の準備が少ない点や
小さいスペースでも運営できることもあり
また彼の夢でもあったカフェということで
ゆくゆくは自分の栽培しているコーヒーを
独自ブランドとして売り出したいとも思っているようで
今回の申請となった。

もう1点はレンディ。
破竹の勢いとはまさに彼のことで、
帰国してまだ3年目なのに
選挙で勝って集落長になったり、
農業ビジネスで成功して乗用車を買ったり。
正直、彼にそんなに才能があるなんて
僕は見抜けなかった。
その彼の申請してきたビジネスは、
お茶の育苗所だった。
彼の住む場所は高地でお茶の産地。
お茶なんていくらでも育苗していそうなものだけど
どうも事情が違うらしい。
お茶の育苗はとても簡単。
お茶の枝を挿し木すれば
それで苗が作れるので、誰でもできると言えばできる。
しかしレンディが目を付けたのはそこじゃなかった。
政府から発行される普及種ラベルの付いた
お茶品種を育苗するというビジネスだった。
このラベルは原種を管理している政府機関から
原種を普及種に栽培を許されている農場だけが
栽培を許されており、さらにその普及種も
特定の農場だけがそこからさらに普及種を栽培できるという仕組み。
これは日本の種子法でも定められているものに近い制度。
ちなみに僕は青年海外協力隊の時に
落花生優良品種普及事業として
この仕組みに係わったこともある。
一般農家では
まず普及種生産圃場の許可は手に入りにくい。
だからこそ、そこには大きな利権があり
そこに参入さえできれば
大きな商売になる。
で、どうしてレンディがその商売の利権に
食い込んだのかはまだ詳しくは調べてないが
彼にはそういう才能があるらしい。
(詳しくはこちらのエントリーへ

とはいえ、
すでに飽和しているようなお茶ビジネス。
どこにそんな市場があるのだろうか。
そこはレンディの抜け目ないところだろう。
コーヒー栽培は雨に弱い。
大雨が来ると花芽が落ちて実の収穫量が極端に落ちる。
2016年と2017年は同地域の雨季は長く
2年連続でコーヒーの収穫は皆無だったらしい。
コーヒーは1年に1~2回収穫されるが
花芽が落ちれば、収量はゼロになるリスクも高い作物。
その点、お茶は毎月少しずつ収穫があり
天候に左右されても全体では大きく崩れない。
政府系の工場が買い取ることもあって
価格も年間通して安定してる。
レンディは日本で貯めた資金で
コーヒーばかり作っていた地区に農地を買って
その一部でお茶栽培を作り始めた。
そしてそのようにリスク回避をするレンディを見て
その地区の農家はお茶栽培に今
乗り出しているのだという。
そこへレンディは安い品種も分からないお茶苗より
政府が発行する普及ラベル付きの
お茶苗を生産してその地区等に供給するというのが
今回の彼のビジネスプランだった。
すでにトライアルを終えており(昨年の10月に僕も調査した)、
計画も綿密で
必要資材も細かく計算されていた。
経験上苗の2割が損失することも計算もされていたし
それでも十分すぎるくらいの利益をえる計算だった。
日本でのビジネスプラン作りが活きている。
と自画自賛しておこうか。

さて
これらプロポーザルは
今から1週間
実習修了生のFacebookのグループメッセージ欄に
アップされる。
それを読んで、1週間の間
ビジネスをそれぞれ行っている修了生たち猛者が
そのプランを徹底批判する。
それに耐えれれば
インドネシア側での審査は終了だ。
日本ではそのプロポーザルを僕が簡単に説明し
皆からも意見をもらって
問題なければGWごろに資金をインドネシアに送る。
いよいよだ。
もうすぐ、次のステージのあたらしい事業が始まる。
その資金管理は、ローカルスタッフのタタンが担う。
これで技能実習の最終形にようやく突入する。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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