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彼の月間レポートはこれまで
あまり記録してこなかった。
その理由は
まぁ、良くできているからといえば、
そうなんだろうけど
優等生で、内容にそつがなく
ブログに記録するほど変化がないというのも
そうなんだろう。
でも1年前と比べると
劇的に変化している。
だからたまには記録しないとなぁ。
ということで、3年生のデデの
しかももうすぐ帰国する子は
どんな月間レポートを作り上げてくるのかも含めて
記録しようか。

記録をさかのぼると、1年前の10月の
彼の月間レポートの記事があった。

http://tayatoru.blog62.fc2.com/blog-entry-1846.html

この時期に書かれていた
お茶とトウガラシの栽培は
そのまま今も受け継がれている。
この1年でずいぶんと彼も投資をしており
しかも2年生の時からすでに
お茶畑を購入して
現地で姉の旦那さん(義兄)に管理をお願いして
すでに農業経営を始めている。

彼はこの2年間で
貯めたお金の140万円ほど投資して
2.9haの農地を購入し
お茶栽培に乗り出している。
しかもその農場では
すでに利益がかなり出ているという。
昨年から今年にかけて、35万円の利益があったらしい。
いやはや大したものだ。
信頼のおける親族が居て、
収益確保が明らかなすでにできあがっているビジネス、
この場合はお茶栽培だが、
それへの投資なのでリスクも小さい。
いうのは簡単だが
遠隔でこういう経営をしようと思っても
なかなかなせるもんじゃない。
デデのマネジメント力がすばらしいということだろう。

さらに3年生の今年は
トウガラシの施肥方法の実験をしており
これがかなり面白い結果が出ている。
有機肥料と化成肥料とを上手く組み合わせることで
従来の倍ちかく収量を得ることが実験では分かったのだ。
もしこの栽培法が彼の地域の
トウガラシの伝統品種でも可能であれば
間違いなく彼は、初年度から成功するだろう。
ま、それが当てはまらなくても
どうすれば正解に行きつくかのプロセスは
たたき込んであるので、数年後の成功は間違いないと思う。

その上で
デデは最近、ハウス施設を地元でも建てて
葉菜類を栽培したいとノタマッテいる。
攻めるねぇ~、デデ君。

ただこのハウスがなかなかインドネシアでは存在しない。
彼の地元では竹資材のハウスが主流で
竹素材だと5年くらいしかもたないのが難点。
投資額は結構おおきく、400㎡で40万円ほど。
5年償却なら、8万円は次の建て替え費として
積立しないといけない。
露地で作る場合とハウスの場合とで
作付け回数がかなり増えない限り
品質での勝負というのは難しいだろう。
あと売り先も大事だ。
ハウス栽培の利点は、環境をコントロールしている分
安定的に出荷できるというのが魅力だ。
その魅力を感じてくれる市場があるかどうかだ。
彼は、近くのバックソー屋(地元の軽食)に販売したり
ローカル市場に持っていきたいという。

なるほどね。
その場合は問題点が3つ存在する。
まず、1点目。
野菜を供給するための配送のための人員はどうするのか?だ。
大抵、新規就農時代は、労力は自分ひとりだったりもする。
彼の場合はすでにお茶農園で雇用しておりパートが数名と
スタッフとして義兄がいるらしい。
インドネシアでは集金は月末締めでもなければ
銀行振り込みでもない。
大抵は現金主義で、その場で現金で支払われる。
となると配送はかなり信頼置ける人物でない限りは
任せることはできない。
パート労働者では無理だし、義兄を配送に回せるほど
労力が豊富でもあるまい。
自分が配送に回れば、全体が見えなくなるしね。

次の問題点は、供給量だ。
ローカル市場は個人商店がひしめき合っている感じの市場だ。
1つ1つはとても小さな商店。
その一軒一軒から注文を取って
それを納品するのはかなり手間だろう。
もちろん供給量も、需要と生産力のすり合わせが
難しくなる。
ブローカーは、大きな規模で買い付けて、
需要とのすり合わせをし、その手間で儲けるのだけど
農家がそれをするにはやはり人手がたりないし
小規模だと生産力が安定しないので、難しいと
言わざるを得ない。
特に葉菜類は、だ。
それなら作った分全部を買ってくれる
ブローカーに販売した方が
断然いいだろう。
第一期生で今は集落長として地域のリーダーになっている
ヘンドラは、その答えに行きつくまでに
5年以上かかった。
彼もローカル市場へ細かく販売してくビジネスプランを
立てていたが、結局は生産に力を入れて
販売はブローカーに任せてしまったのも
その規模やスタッフなどの信頼おける人材の確保のむずかしさにある。
ちなみに僕の農園はそれをするから
すこし高い単価を獲得できているので
生産力と分配とがうまくマネジメントできれば
当然、みんなが難しい分
ビジネスチャンスになるということでもある。
ヘンドラに経験談を聞いて
君なりに考えることだね。

3つ目はもっと根本的なことだ。
それはハウス栽培の葉菜類の品質を
市場は評価してくれるかどうかってことだ。
雨よけで作った葉菜類はとても葉がきれいだ。
泥はねもなく、すくすく育った葉菜類は美味しそうに見える。
露地と比べてハウス栽培の葉菜類は
とうぜん日本では品質も高い分
需要もある。
だが、君の地域はどうだろうか?
バックソー屋で出すというが
昔、僕がスラウェシで仕事をしていた時
料理屋の主人はこういってたよ。
「虫食いや痛みはあまり関係ないよ。きざんじゃうし味付けしちゃうし。大事なのは安いって事かな」
ってね。
これは20年前の話だから
今は違う、と言えるのなら良いんだけど。
つまり回転数が上がる以外に
値段もある程度ついてこないと
5年償却の施設を葉菜類で稼ごうというのは
かなりきびしいんじゃないかな。
日本の一般的な農家も償却期間の倍の期間は
やはり使って資金を回収している農家が
多いように思うしね。
金属パイプのハウスが7年~10年で朽ちることないしね。
でも竹は、白アリにやられるから
確実に朽ちるので
5年で利益回収できなければ
その投資で君は潰れることになるぜ。

ま、
こういうことを議論できるまで
君の経営感覚が伸びてきたってことなんだろう。
その成長ぶりは本当に頼もしいよ。
あと2か月、僕も全力で君と議論をすることにしよう。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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