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10月出張の成果の記録が終わってなかった。
レンディの生計調査の結果を残しておこうか。

レンディは帰国後2年で集落長になっていた。
彼が帰国前のプレゼンで
スマートリーダーになる、とノタマッテいた。
みんなはそれが冗談だと分かっていて
笑い飛ばしていたが
どうも本人は本気だったようだ。

彼は日本にいる間に
自分の住む村から車で40分ほど離れた
他の地域の土地を買い込み
日本にいる時から
父や雇人にお願いをして
その土地にお茶を定植し
そこでお茶栽培を始めていた。
だから帰国してからすぐに
そのお茶の収穫を始められ
すぐに安定した営農を開始できていた。
彼のようなケースは初めてだった。
日本にいる時から土地を買うことはあっても
人を雇って営農を始めてしまうのは
これまで例がなかった。

お茶は安定して毎月収穫できる。
しかも販売は政府の買い取りで
価格変動はない。
インドネシアではお茶農園の労働の
低所得者が問題だと指摘する論文があるが
大きなお茶工場を中心として
零細のお茶農園が点在する産業クラスターの地域は
その安定価格のおかけと
アグリフォレストリー政策のおかげで
経営が安定し、投資も利益を計算できる
とても優秀な農業形態を形成しているようにも見える。

レンディは家族経営だ。
父と叔父とレンディの3人がそれぞれ土地を所有しているが
労働は一緒に行っている。
母が労働者としてそれらの農場で働き
農場のある近隣集落からも午前中だけの
労働者3名もお願いしている。
レンディの主品目は
お茶と伝統種のトウガラシとお茶の苗木販売である。
コーヒー栽培も考えているが、
コーヒーは収量が安定せず投機的でもあるため
今はお茶の方が計算がしやすいということで
お茶で経営を安定させたいという考え方。
年間で15万円程度の販売高。

伝統種のトウガラシは
彼が購入した土地がとても良く
その恩恵を受け、帰国後から高収量を得ている。
価格変動はあるが
昨年は価格も良く大量に収穫もできたので
大きな収益になっていた。
こちらは年間で20万円ほどの売り上げ。

さらにお茶の苗木栽培もしている。
もともとは自分のお茶畑にするために
苗木を栽培すると言っていたのだが
周りの農家の需要も高く
販売用に5万本を生産していた。
原種種子農場から普及用にと
優良品種の苗木を分けてもらえることになり
それも彼の育苗所の人気にもなっていた。
ぜんぜん生産量が足りないとのことで
耕志の会からマイクロクレジットを得て
規模拡大をしたいと語っていた。
販売高は10万円。

たった2年で
彼は公務員給与の2倍の農業所得を得るようになっていた。
その成功が目に留まり
地域のリーダーたちから押されて
2018年3月に
集落長の選挙に立候補し
初当選を果たす。

まだまだ土地を買って
農場を広げていきます、と彼は野心的だった。
2年後には村長選もあるという。
それもでますよ、と屈託のない笑顔で答えてくれた。
君は馬鹿だと思っていたけど
とんでもない大馬鹿だったんだね。
もう僕の想像ではとらえきれなくなりつつある
彼の笑顔は、昔と何も変わらなかった。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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