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最近Facebookでつながっている人が
こんな記事を書いたのが紹介されていた。

どうすれば日本の農業は再生できるのか?~問題なのは現場と農業政策のズレ

なかなか面白い話ではあるが
いくつかの点でおかしな箇所がある。
論者は食糧問題から入り、
国連がこれまで大規模農業形態を推進してきたとし、
資源の半分を利用しているにもかかわらず
十分な食料生産ができていないことや
災害リスクが高まる中で
小規模農業や家族農業を再評価されたとある。
ま、この流れは特に変でもない。
ただ
そこから日本の小農へと話が飛ぶ辺りからおかしい。

限られた資源へのアクセスが
小規模農家が排除されているのが
これまで国連の立場の転換だったのが
世界の流れであるなら
資源を放置し、有効に活用できなくなって衰退しているのが
日本の農村の現状だ。
教育や他産業の発展や、
個人の権利や自由が認識され
さまざまなチャンスの中で選択肢が増えたために
農業を職業として選択しない人が増えた。
個人事業では
その事業承継に30年周期くらいの時間で
経営者が変わるが、
家族農業ではその後継者が家族に限定されていることから
承継のチャンスも乏しいのが現状で
その経営体から抜け出せない
戦後の農政や社会認識が
現在の日本の農村の衰退につながっている。
資源から排除されているのではなく、
資源が資源として認識されなくなっているところに
問題点が起きている。

だから、一概に
世界の潮流が日本の小農(定義がかなりあいまいな言葉)と
リンクすることは、やはり論としては乱暴ではないかと思う。

資源や食糧にアクセスできず
飢餓に陥る人たちが世界の2割いる半面
食糧を大量に捨て、肥満化していく人たちも2割いる。
この問題へのアンチテーゼとしての
小規模農業ってことなんだろうって理解している。

だからこそ
その資源に自国でアクセスできないで
技能実習生として農園に来る子たちには
ここで得た資金を元手に
資源へのアクセス枠を広げて
さらに能力のある子には
地元の雇用や産地化による農村振興という
事例を含めて勉強をすすめている。
ただそれにしても
その子たちが大規模化していけば
資源の独占はある程度あるだろうし
新しい支配層になることだってあるだろう。
共産的な社会があるのかどうかはわからんけど
少なくとも今のシステムの中では
それは真っ当には働かないことも知っている。
というのは論の飛躍か。
ま、新支配層になるほどの力を持っている子が
そうそういるとは思わないけど。

だから
どうなればいいのかという理想を
僕の行っている技能実習生のプログラムの中で
僕らが不見識にかざすのは
僕にはやはりできない。
というか正直僕には分からない。
※注意:紹介した論文がそうだとは言っていません。あくまでも僕個人のプログラムの話で。

できることは
コミットメントする機会を自分やこのプログラムに
埋め込むことくらいだろうか。
あとは一緒に考え足掻くことができれば
当事者として空中戦のような論を展開しなくても済む。

世界の中で
日本は大量に食糧を買い
大量に無駄にする国である。
しかも国内の農の資源は放置されつつある。
現在の世界の文脈で
資源の独占を許さないという方向での
家族農業と
自爆のごとく衰退していく日本の小農とは
どこで相見えるのか、僕には見えない。
農業の形態が固定化していくことこそ
農の衰退の始まりだと僕は認識している。
かつての日本農業の歴史の中で、
家族農業に隠れて、不当な手当しかもらわなかった女性や若者、
職業選択権が無かった時代、
その家庭内・地域内ヒエラルキーが戦前の社会構造を作ったこと、
それらを忘れてはいけないだろう。

インドネシアの技能実習生もまた
経済格差の中で、日本に出稼ぎに来ている。
とても真っ当ではないかもしれない
この付き合い方に
僕はもうどっぷりと浸かりながら
最後までコミットメントする覚悟で関わりを持っているが
そのどぶ底だからこそ見える風景もある。

社会的空気感でなんとなくカテゴリー化した何かが
その社会の変革に歴史的に正義を持つことはない。
認識されたその力が、時代によっては暴力になることを忘れず
我々農業に携わる者にとって
何がベターなのか
文化的・社会的に最後まで対話する責任が
大事なんだと強く思う。
作り上げたものも
時と場所を隔てることで、その価値も意味もないばかりか
何かを傷つけていく暴力となることの自覚も忘れちゃいけない。
だが、
最近では、こういった自分の言葉も
チープにしか思えないジレンマに捉われている。
この対話が、実際に何を生み出すのか、何を作り上げているのか、
または何を壊しているのか、
僕はその成果と闇をもっと真摯に見つめていきたい。





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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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