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帰りたいと騒いでいたアンギ。
なんとかあれから持ち直した。
原因はよく解らないままだが
たぶん現状に悲観的になったことが主要因だろうか。

今年から
実習生自らが自分たちの生活環境や世帯について
調査を行う形式で
月間レポートのプロフィールと称して
報告書を書いてもらっている。
この作業、楽しい場合もあるけど
楽しくない場合も多い。
アンギの場合は、帰国後の農業する原資として
お父さんの30aの土地を期待していた。
だがプロフィールを作っていく過程で
そのお父さんは、すでに離婚していて
一緒に住んでいないこと、を
僕から指摘され、
まぁ、僕もやや意地悪だとは思うけど
お父さんが再婚すればその土地は、
スンダ人の伝統的財産分与では
君にはほとんどもらえない可能性があることを
指摘されたことが発端だったかも。
というと、なにやら僕は鬼のようでもあるけど
捕らぬ狸の皮算用をここでするわけにもいかないのだ。

お父さん、まだ若いし
お粥販売という仕事だけどかなり才覚があるような感じで
儲けていることも分かったので
たぶん近所がやもめのままでは放って置かないだろうなぁ。
しかも30aも土地もってるしね。
再婚すれば、子供もできるだろうから
財産の多くはたぶんその子が受けることになるだろう。
で、アンギさんにはそれが入って来ないことも
頭に入れて将来を考えないとね。

的なことを言ったような気がする。
すこしセンシティブな子でもあるけど
赤の他人の外国人から
そんな家庭の内情までを指摘されれば
誰でも嫌になるよなぁ。
でも、そこまでやらないと、その30aの期待値で
3年間の時間を投入してビジネスプランを作っても
意味がないし。

ただ、その後時間をかけて状況把握と
未来の話をすすめていく中で
彼はどうも合点してくれた気がする。
まだわからないけど。
この夏の早出の中では
かなりモティベーション高く持って
仕事をしてくれたので、
きっと大丈夫だろう。うん。

さて、
7月のレポートでは
彼の家計が少し明らかになってきた。
基本的に、アンギの家族は
屋台などで食べ物を販売して生計を立てている。
農業のための農地もない。
また住宅地に住んでいることもあり
土地の価格も非常に高く、
たとえ実習期間で貯めたお金を
すべて投入しても5aほどしか
買えないほどの土地価格だった。

ただ、彼としては自身が農業生産をするのではなく
農作物を扱うビジネスを考えているという。
もともとスーパーで働いていたこともあり
スーパーの扱う青果と地元農産物とのリンクが弱いことを
感じていたという彼は
そこをビジネスにできないかと思い始めている。

ま、これについては
また来月。
とりあえずいくらくらいビジネスに投入できるかが
はっきりしてきたので
彼のいう農業ビジネスの何にどう投資をするのかは
来月の検討事項となろうか。

しかし、今年の1年生は
農業生産そのものをビジネスとは
考えられない子たちが揃ったようだ。
僕もしっかりと勉強しないといけないな。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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