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大雪から1カ月が過ぎた。
納税申告や海外出張や
ハウスの倒壊の処理など
あれこれ考えているうちに
すでに1カ月が過ぎた。
この間、何社かメディアの取材も受け
あの時の状況を語る機会を得た。
興味深いことに、人は経験したことを
その内面に貯めておくわけじゃなく
誰か(もしくは何か)とのインタラクションの中で
自分の経験を発見する。
だから、その発見したものを
僕はここに記しておこうと思う。
それはあの豪雪時の対応について。

経緯については
以前のエントリーが時系列で詳しい。
今回は、取材で良く聞かれたこととして
豪雪への対応は万全だったか?
次回への反省点はあるのか?
について記そう。

また、Yahooニュースや全国ネットのテレビで
僕自身が取り上げられたことで
2チャンネルなどの媒体で
「農業はすぐに行政からの支援を頼りにする」、
と僕個人や農業全体に対する対象は様々ではあるが
攻撃的な意見を多数いただいていることも
念頭に置いて、取材時に気が付いたことをまとめたい。

①経験からくる情報の共有不足
まず、この事項が不足していたことで
ハウスの雪かき作業を
その現場現場で思考することが難しくしていたように思う。
農園の施設は3か所に分かれている。
それぞれは何キロも離れているわけではないが、
地形などでばらつきがあり、
またそれぞれの場所でも何種類ものハウスが立っており
それぞれの強度や特徴、立ててからの年数も
まったく違う。
その立地や構造の違いから
降雪時における要注意のハウスは
たしかに存在していた。
その情報はほとんど僕と父のみに共有されていて
普段の降雪時の対応は、僕と父で対応していた。
それで37年は対応できていた。
さらに細かいことを言えば、
37年前の56豪雪の経験は
父のみが有しており、その経験はまったく明文化されず
僕は話で聞いているくらいでしかなかった。
なので、スタッフたちは
どのハウスがどのくらい危険なのかは
まったく知らされていなかった。
逆に言えば、知らなくても37年間は問題が無かった。
この情報共有が無かった分
同時多発的にハウスが倒壊する時、
それぞれの現場の判断で一番危ないハウスを
救い出すという行動ができなかった。

②ハウス雪かきのスキル不足
雪かきは、雪国に住んでいるのだから
誰でも身につけている。
ただハウスの雪かきは別だ。
ハウスのどの部分に雪があったらダメなのか、
どこへ降ろせばいいのか、
それはそれぞれのハウスの構造と
融雪の有無、立地によって変わる。

2/4の午後から本格的に雪が降り出したのだが
その対応は、ほぼ僕だけだった。
2/5のお昼頃からスタッフも雪かき対応に替えたが
どのように雪かきをしたらいいのか
その経験値が全くなかった。
僕と一緒に1棟1棟まわりながら、OJTをするといった具合だった。
事前に学習することは、これまで必要なかったので
ハウスの雪かきのスキルは
みんなには皆無だった。
僕だってそんなに知っていたわけじゃないのだから。
農園のハウスには融雪が完備されていたから
雪かきで雪を屋根から降ろす作業は
ほとんど必要のないことだった。
1月に少し降った時は(積雪70㎝)、
倒壊の恐れがあったハウスを
僕だけ一人で雪かきをして間に合っていた。
だが、数時間で50㎝以上積もるような
ゲリラ豪雪の場合、1人では無理だ。
農園は20代30代の若者が多いのだが
スキルの無い人材が多い中、
なかなか思うように作業ははかどらなかった。
豪雪の終盤である2/8ぐらいからは
スタッフはスキルを身につけ
みるみる雪下ろしをしてくれたが
初めからあれくらいできていれば
と思わないこともない。
事前の研修をこれからは怠らないようにしなければ。

③融雪設備の老朽化
ハウスに取り付けられている融雪装置は
井戸水を利用する。
ここらの井戸は、対岸に温泉が湧くように
硫黄などいろんなものを含んでいる。
そのため経年劣化で融雪の金属ノズルがどうしても
不純物が結晶化して出が悪くなる。
毎年、冬が来る前にチェックはするのだが
何か所もノズルから水が出ていない箇所があった。
交換すればいいのだが、
それはそれでかなりコスト高になる。
ノズルだけ交換できる仕組みではなく、
融雪のパイプごとすべて交換しないといけない。
交換しなかったことが怠慢だったかどうかは
東日本大震災を経験してもなお
津波の体制が万全にならないロジックに
似ているかもしれない。
いつか来るだろうの災害には
来ないかもしれないという考えによって
費用対効果という言葉で片付けられていた部分も
なきにしもあらず。
これは廉価で交換できるような新しい融雪装置の登場を期待したいが、
とりあえずは、老朽化しているものを
今回支出できる範囲で交換するしかないだろう。
交換費用を経費に入れて
年次交換計画を立てる必要もあるか。

④融雪装置の耐久性への疑問
今回の雪では
融雪装置が雪の重みに耐えられず
脱落するケースが多くみられた。
その脱落の多くは、新しいハウスの
新しい設計の融雪装置ほど脱落していた。
融雪装置を支える金具がのびきってしまうという
ゆゆしき問題が発生していた。
明らかにこれは設計上の欠陥と言える。
メーカーやハウス施行の会社に伝えて
新しい設計への変更をお願いしたい。
とりあえず自分らで出来ることとしては
融雪装置をささえる金具の数を増やし
すこしでも重量に耐えうるようにすることだろう。

⑤新規のハウスは耐雪の規格をさらに上げる
13棟のハウスはこれから立て直しになる。
それらは今まで以上に積雪に耐えられるような
構造体を目指す。
すでにハウス屋とも検討に入っている。
それ関連の情報を集め、自らも構造に詳しくなるよう
勉強を重ねていきたい。

次の冬は、
点検し交換して強度を上げた融雪装置を付けた
さらに耐雪構造のハウスで、
事前学習によるスキルアップしたスタッフと
弱点となるハウスの情報を共有し
初動を早くし
同じような、もしくはそれ以上の雪が来ても
もう1棟も倒壊させない。
そう強く思う。





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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
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