今年も3年生は苦戦中だ。
研修生は3年目に
卒業研究を行うのだが、
それは帰国後のビジネスと
直結するような研究であること、
ロジカルに物事を捉えること、
などが最低条件となっている。

研究方法論をそれほどしっかりと
教えているわけでもないので
プロポーザルを作る作業をしつつ
科学的に思考することを
一緒に身につけてもらう作業となるので
研修生にはかなりストレスの多い作業となる。

さて、今年はイマンがその作業を進めている。
例年であれば3月にはプロポーザルができあがっているが
今年はこの時期までずれこんでしまっている。
昨年のレンディもそうだったかな。
野菜の直販をしている農家に
インタビューをして
その内容をまとめたいというのが
彼の研究の骨子。

彼の地域は米とタバコ加工で
生計を立てているが
米価格が低値安定していて
農地拡大をしなければ収入増は得られない。
だのに、経済成長著しいインドネシアでは
農地価格がインフレを起こしていて
農地拡大は難しい。
農外転用の期待が高いからだ。
土地利用型よりも労働集約型の
野菜栽培で付加価値をつけたいというのが
イマンの考え。
ここまでは良かった。
だからそのままOKを出してしまおうかと思っていた。
最後の仕上げに
インドネシアの卒業生たちと
Web会議をしてその意見を聞いたら
OKを出そうと思っていた。
こんなもんかな、とどこかで考えていたのだろう。

Web会議で研修卒業生たちは
かなり厳しかった。
イマンの直売をしたいという発想からの
研究テーマの設定自体を否定するような
意見が多く寄せられた。
また研究背景にイマンの地域の野菜栽培の
問題点がリンクしていないという厳しい意見から
そもそも
その問題(土地利用型農業)が
野菜の直売でしか解決できないのか?という
意見まであった。
僕は卒業生たちの卒業研究時に
かつては
彼らが涙目になるくらい
厳しく指導したこともあった。
その度に
彼らから恨まれることも多かった。
しっかりした現状把握から
グランデッドに生み出された問題提起と
その解決に向けての行動、
それが卒業研究を通じて
彼らに教えておくべき
地域リーダーのスタイルだと思っていた。
その厳しさが
僕は年を重ねるごとに
擦り減ってしまっていた。
何の得にもならないのに
彼らから恨まれるような指導をして
何がおもしろいんだろう。
なんて考えも最近は頭をもたげ
そうして指導の手も緩んでいた。
人に嫌われるのは
想った以上にエネルギーを奪われることなので
それが怖くなったんだと今は思う。

だが、
そんな卒業研究の指導を
していても
彼らのためにはやはりならない。
卒業生たちが
かつての僕の指導を
Web会議を通じてイマンに投げつけてきたのだ。
それでいい。
そういう視点を卒業生たちが持っている事、
そういう考えで卒業生たちが今を開拓している事、
その事実が
僕の恐怖感を取り除いてくれた。

ちょっと時間がかかるだろうけど
イマン君、覚悟したまえ。
君のポテンシャルは高いので
それに合わせて、
僕は指導の厳しさを
トップギアに入れて
君をしごこうと思う。
とりあえず、
君の出したプロポーサルは
最初から作り直しだな。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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