レンディが帰国した。
来た当初、彼の営農規模に驚き、
その地域のポテンシャルの大きさにも
驚いた。
ジャワにもまだこんな地域があったのかって。

バンドゥンの南のパガレガン地区は
ジャワの水田文化によって
作られた村ではなかった。
調べていないからわからないが
おそらくオランダ植民地時代のエステート事業で
入植した場所なんだろう。
だから、この地区の彼らは米食ではあるが
水田を持たず、
エステートで得た所得で米を買う。
本当の意味でのプロレタリアートで
農民という言葉よりも
農業労働者もしくは農業経営者という方が
しっくりくるのかもしれない。
この生態的違いは、その思考も志向も
大きく変える。

レンディは3年間鍛えられるだけ鍛えたが
やはりバカだと思う。
でもたぶん彼は農業所得という意味では
成功するだろう。
個人的な資質ではなく
この地域の農業の生態と
それを相互補完し合う彼ら彼女らの
文化と思考がそれを可能にするだろう。

卒業研究での機械化への挑戦は
ジャガイモの土寄せだけという限定的な
視点で行われたが
それがすべての耕起に
トラクターを利用した場合
彼らの生産性は格段に向上するだろう。
その向上した成果は
より効率的な農業の志向に寄与するだろう。
1つの小さな成功と見えるものが
彼ら彼女らの運命を決定していくだろう。
その生態を下地にしながら。

ただ同時にその変化や変容にも
恐れる自分がいることに気が付いているのだろう。
科目の最終試験で
彼は機械化が進むことや新し技術によって
効率性は上がるが
それによって『本当の文化』が壊されると
プレゼンしてくれた。
なにをいまさらそこで立ち止まる?
本当の文化なんてものは
どこにもないのに。
変化への恐れは
僕にもある。
今やっていることは
僕の想像の範疇にあったこともあれば
全くなかった部分もある。
だから、時に立ち止まって後ろを向くと
とてつもない恐怖心に襲われる時もある。
でもそれが何を生むんだ?
ノスタルジックな感情は
他者と共有することで
その関係性を深めるかもしれないが、
変化と変容にブレーキをかけるような
ノスタルジーは百害あって一利なし。
本当の文化なんてものは
どこにもなく、
僕らはグローバルとローカルなさまざまな要因の変容に
つねにレスポンスを求められているんだ。
そのレスポンスを文化と呼べば
そうなんだろうと思う。

レンディさん。
君は良い意味でバカだと思う。
だからあまり考えず
目の前の小さな成功の続きを
追いかけなさい。
その先に何年も何十年も経ったら
君が今思うような、もしくは思ってもみなかった
答えのようなものが
たぶん後付けで
生まれているんだろうと思う。
それはポジティブなのかネガティブなのかは
僕には解らないけどね。
ただ、これだけは守れ。
立ち止まるな。
変化せよ。
つねに時代にレスポンスをせよ。
では、成功を祈る。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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