書くのも億劫だが
こういうのをこれまでスルーしてきたのも
良くない。
記録として
こういう視点があったということと
こういう風に考える風潮や時代があったことを
合わせて記録しようか。

2/1の日本農業新聞に
農業競争力強化支援法案という記事がでた。
農業資材の調達や農産物の出荷・販売に対して
農業団体や農家は努力しなさいと義務付ける法案。
資材購入や農産物出荷を受け身でJAに任せているだけの
農業者をイメージしているのだろう。
農業を産業化させるために
競争を生み出させようという意図。
条文には
「農業者は、その農業経営の改善のため、農業資材の調達や農産物の出荷、販売に関して、必要な情報を収集し、主体的かつ合理的に行動するよう努めるものとする」
とある。
新聞の解説によれば、
なんでも農業者は経営者としての意識が低く
慣習的にJAを利用しがちなため、
自ら組織するJAや全農の改革が進まない
という認識があるらしい。

すごいね。これ。
この法案を作った人間の視点を
僕は疑ってしまう。
いくつかというか全部にケンカを吹っかけたいが
ここでは3つだけに絞ろうか(というかそれが全部か)。
まずはこれ。
慣習的にJAを使う?
ふーん。
選果場やライスセンター、低温貯蔵庫、蔬菜予冷庫、甘藷キュアリング施設、
その他例を上げたらきりがないが
日本の需要に対してリレー栽培をしつつ
季節感なく供給できているのは
こういった近代的な施設の恩恵だ。
そしてこれらはとてもじゃないが
個人では所有できない。
JAもしくはそれに準ずる団体として
個々がまとまることで投資が可能になる。
1経営体でも5000万も販売すればエースの
農業界の零細企業集団では
個々人での大型投資は到底無理だ。
これを慣習的にJAに出荷というのは、
これを従属論的には読み解けても、
慣習的で非合理的な選択だと決めつけて
努力していないなんて言うあんたらは学問が無さすぎる。
精神論だけでクリアー出来ない構造が
そこにあることに目を向けるべきだ。
ついでにいえば
そういう施設等があることで
衛星的にその産業が発展していく場面は多数ある。
産地形成の流れをみれば
経済学の素人の僕が言うまでもないね。

その上で、
ニッチを見つけて
独自取り組む農家はたくさんいるさ。
でもそれは義務付けられることじゃない。
まちがえるな!僕らは公務員じゃない!

で、つぎ。
経営者としての意識が低い?
この一文は笑える。
そういう事例はいくらでもあるだろう。
でもさ、それって農業者だけなの?
他の産業でもさ、そういう義務付けしてる?
経営センスや能力に欠けた人間がいたとして
それを国家が努力することを義務付けたりできるの?
努力する者は発展し、怠るものは没落する。
それだけだ。
それが出来ていないのだとしたら
フリーライダーを許しいるってことだよね。
それは制度設計の失敗である!
精神論ではなく、政治を真面目にやれ!

そんで、最後。
コストダウンや販売強化の努力を義務付ける?
あのさ、僕らの労働をどう規定しようとしてるのかなぁ。
働くってことは、
自己表現でもあるはずだ。
豊かさは、金銭的なことと必ずしも一致しない。
価値も金銭的なことに必ずしも一致しない。
名誉・自己実現・社会的関係性などを大切に生きることは
コミュニティの活性化と維持持続には欠かせない場合もある。
それにどのような農業を志すかは
それぞれの志向によるはずだ。
それらすべてに国家は介入できない。

農水省や政治家の皆さん。
僕らはあなた方からお給料をもらっているわけでも
投資をいただいているわけでもありません。
そんな努力義務を押し付けられる義理もありません。
補助金のことを言うのであれば
そういう対象にださなきゃいい。
産業に対して努力義務っていうのは、
やっぱり変だ。
競争力強化と謳いながら
そもそも僕らの産業を産業として見ていないでしょ。
だからこんな幼児に諭すような
文言を入れて努力しなさいだなんて、あきれてしまう。

自分たちの制度設計に悪さを棚に上げて
出来そうな、弱そうな、部分に攻撃をかける。
今の首相のあの雰囲気なら
その下にいるブレインが
こう考えても不思議ではないが
これが一国の政策かと思うと
情けない。
もっと尊敬できる
すばらしい政策を作ってください。
僕らの血税を使っているのだから。



関連記事
Comment
Trackback













管理者にだけ表示を許可する

Comment form

田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

プロフィール
09 ≪│2017/10│≫ 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カレンダー(月別)
カテゴリ
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

Page Top

Powered by FC2 Blog |

FC2Ad

| Template Design by スタンダード・デザインラボ