第65回たけふ菊人形協賛総合俳句大会に
投句していたのだが、
その一つが、
招待撰者の大塚邑紅先生に
特選として取っていただいた。
543句の中から
この句一つを特選として
取っていただくということなので
とても栄誉のあることだと思う。

取っていただいた句は、これ。

『古民家はゆるりと朽ちて秋の風』

邑紅先生からはこんな講評をいただいた。
古民家とは、文化財とかの家ではなく、
人の住まなくなった、
たぶん住民はすでに都会に行ってしまって
居なくなってしまった家のことでしょう。
人が住まなくなった家というのは
どこかしことゆっくりと朽ちていくものです。
この家もいろんな世代を
家として育んできたのでしょうが、
今では誰も住まなくなりゆっくりと朽ちていく。
この句のゆるりという表現がとても良かったです。
人間が我が物顔してこの地球で暮らしていますが
そんな人間が居なくなるのはすぐにいなくなってしまうでしょう。
でも、そのあとに残されたものは
ゆっくりとゆっくりと朽ちていくのだと思います。
その様と秋の風がとてもしっくりきていて
特選にいただきました。

とのことだった。
僕の住む集落でも
人の住まなくなった家がぽつりぽつりとある。
僕が小さかったころは、その家にはたくさん人がいたのに
いつの間にか誰も住まない、そんな家がある。
丈夫に頑丈に立っていると思っていた
それらの家も、屋根のかわらが落ちて来たり、
窓が割れて放置されていたり、
屋根が陥没したり、
人が住まない家はこうも傷むのかと
その様がとてもさみしく感じる。
さりとて
それらの家は
みじめに朽ちていくというのではなく
どこか古民家の持つ佇まいがあって
(屋根の形とか)
朽ちゆく姿がそれほど哀れでもない。
それを読み込みたくて
秋の風とゆるりに
それらを託して作った句が上記の句だった。

俳句は座の文学。
未完な表現が読み手に伝わり
読み手の解釈が加わって一つとして完成する。
邑紅先生にとっていただいて
僕の句もひとつになったとそう思う。

特選をいただくと
その選者から句をプレゼントされるのだが、
僕がもらった句は、次の通り。

『ことのほか紅葉づる草の名を知らず』 邑紅

特選の名前を呼ばれて
先生のところに句をもらいに行くと
邑紅先生はとても驚いていた。
僕が思いのほか若かったからだろう。
そこでいくつか句を用意されていたようだが
「あなたにはこの句が良いわね」と
この俳句をいただいた。

おもいがけず美しく黄葉する草もある。
しかしその草は名前も知らないただの草。
俳句は無数のただの人たちが
作句を繰り返し、練げてきた文学。
僕も名前も知らないただの草だが
美しく切り取れる場面を美しく切り取りたいと思う。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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