今日は気分がいい。
だからもう一つ書こうか。
技能実習生の座学の前期最終試験。
今回は3年生のレンディだ。

正直、
彼のプレゼン前に出してきた
レポートは最悪だった。
農業構造論的には
現状の分析が断片的というか
有機的に物事につながっていないというか
デデでも指摘したけど
分析のための分析というか。
つまり、僕が教えた項目を
埋めるだけの作業を彼はしていた。
もちろん1年生にはよく見られる現象だけど
それを3年の今になっても
やっていることに腹立たしかった。
だからこれまでも
彼はずーっと僕の中では評価が低かった。
その彼のレポートが
そういう具合でも
僕にはため息しか出ない。
そんな状況で彼のプレゼンを聞いた。

彼の現状把握のプレゼンでは、
森林政策の中での農業の継続が問題点として
挙げられていた。
緑化に務めるのであれば、
国有地を三セクが貸して
そこを農地として利用できる政策がある。
彼の地域はその恩恵のために
大規模路地園芸農業が可能で
その優位性を活かして
他の地域では出来ない
別次元のお茶栽培や
ジャガイモ栽培、さらには
コーヒー栽培に特化していた。
ま、そこはいいだろう。

で、その問題点として
その森林政策が打ち切られたら
農業が継続できないというところに着眼した。
また壮大な、解決できそうもない点に
着眼したなぁ~(センスないね)というのが、
僕の感想だった。
その解決策がまた失笑もので、
彼はコーヒー栽培を例に
それを大規模栽培しつつも、
村のお母さんたちの家庭菜園としてとりくむことを
ビジネスプランとして提案した。
おいおい、そんなもの家庭菜園でやっても
全体量を賄えなし、代替え案にもならんぜ。
キューバの夢を見すぎじゃね??
とそのプレゼンを聞きながら
僕は、もう溜息しかでなかった。

ところがだ。
彼はそれが代替え案ではないと言い、
それは大衆化させることで
自分の認知度を高める活動にすぎないという。
つまり自分が政治の世界に打って出るための
布石としてのビジネスプランだとさ。
おったまげたねー!もう!
椅子からずり落ちるかと思ったよ。
正統的な理由を付けて
それを社会運動化させて
それで儲けるわけでも問題解決するわけでもなく
自分が政治家となり
政策としてその森林政策や
その代替え案を考えだすんだというのが
レンディのビジネスプランの真の目的だという。

ああ、レンディよ。
僕は君を勘違いしていた。
君は論理的に考えられない小馬鹿だと思っていた。
この3年間、ずーっと思ってきた。
でもそれは違った。
君は大馬鹿だった。
3年生の大事な前期最後の試験に
そんな博打みたいなプレゼンを
してくるなんて。
僕が今まで君を叱ってきたそのすべてが
全く君を委縮させず
こうして広く羽ばたくその姿が
とても僕には美しく見えた。

君の分析や書いたものは幼稚だ。
ぜんぜん丸はあげれない。
でもそれは、僕の尺度での話で
君のような政治家は
僕は評価できないだけの話だ。
君は大きい。
そのまま大馬鹿を徹して進め。

こういう自由な発想と
根拠のない自信と
人を真顔で喰うような思考。
それが僕がこの研修で
君らに求めていたことだとすれば
君は僕の授業の試験という意味では
期待を大きく裏切って、
そして僕の想像以上の人間になろうとしている。

質問タイムでは
優等生タイプのデデとイマンが
穴だらけのレンディのプランに
ガンガン噛みついたが、
もともと同一の思考上に立てないのだから
君らがどう正統な質問をしても
通用しなかった。あたりまえか。
それだけ彼は大きかった。

3年になれば皆
それぞれに成長した姿を見せる。
レンディはレンディとして
その姿を見せてくれた
前期の最終試験だった。

レンディよ、僕は君のような人間を愛す。





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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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