インドネシアの技能実習生たちには
週に3回授業を用意している。
前期と後期に分けて、
3年間で6学期の座学。
その中心と言っても良いのが
この農業構造比較論。
なんて書くと、難しいことをやっているように
思えるかもしれないが
中身はいたって簡単。

どうしてその農業という表象が
僕らの目の前にあるのかを
いろんな要因によって絡み合っている現状(構造)を
理解するというもの。
自然・農地・人的資源・市場・資金・技術・インフラ・政策・グローバリゼーション。
これらの要因をバラバラに検証し、
比較することで、その差異に気が付く。
そうすれば
目の前にある農法を
そのままインドネシアに移設すればいい、という
愚かな考えに陥らなくて済む。
さらに、それを実現するには
どの要因を整えるべきかも
その整えたつもりの要因も
それがそれで確固たるものなのかどうかも
一気に分析でいるはず。
大学院で学んだことから
僕のオリジナルで作った座学。

さて、
この要因の中で
どれか一つでも変えると、生産様式が変わる。
あたりまえじゃん、って思うでしょ。
でもそれって結構見えにくいんだよね。
この要因をそれぞれの地域で整理して
意図的に変えれば、少なくとも現状は変わる。
つまり社会変容の力もこの座学にはあるはずで、
インドネシアの子たちにも
それは口を酸っぱくして言っている。

自然条件はなかなか変わらないけど
(温暖化でずいぶんと違う景色になりつつあるけど)
人的資源はどうか。
自分で勉強して、学位を取るや、資格を取れば
それだけでその個人の生産、
いや運命も変わる。
インフラもそう。
研修卒業生の村々では
今、田んぼの真ん中に道を作ろうという動きが活発だ。
政府の資金も入るが、
基本ゴトンロヨン(共同作業)で
住民たちの資金も使って
田んぼに車両が入るように整備しつつある。
この動きが進めば
トラクターなどの機械化の勢いは一気に加速するだろう。
何か一つの要因が変われば
それぞれの生産のカタチが変わる。
つまり決められていたかもしれない運命も
変わるってことだ。

そういう要因を俯瞰していると
自分で変えられそうなものは何かが
だんだんと見えてくる。
地位を得られれば、
政策は村レベルからであればある程度は
手を付けられる要因になるが
卒業生のほとんどはまだそのレベルにはなっていない。
人的資源と技術がまずは
比較的簡単に変化を付けられる、
つまり運命を変えることのできる要因ってとこだろうか。
だからといって安易に先進技術を
導入しても
悪い方にしか運命が変わらなかったりもする。
そのほかの要因が
その変化でどのように変わるかも
予測してこそなんだろうね。

しっかりと勉強すれば
やみくもな儲け話につられることもなく
君らは君らの運命と社会を変えていく力を
ここに来ることで得られるはずだ。
何も勉強しなくても
社会的には「日本に行った」というだけで
君らが思っている以上に
君らの社会はそれを評価していることにも
もっと自覚的になるべきだ
(それも人的資源に入るね)。
そこを起点にして勝負も打てるんだから。

今期の農業構造比較論は
終了した。
さ、君ならどこから自分の運命を変える?


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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