強い農業ってどんな農業なのだろうか?
いろいろと読み散らしてみると
それはやはり経済的にという意味で
使われているが
本当にそれが強い農業ってやつなんだろうか?

僕らの生業として
農業を営んでいるので
経済的に潤うのはもちろん、
生活していく上で必要不可欠なことだ。
お金がなくちゃ、理想も何もあったもんじゃない。
清貧なんてナンチャッテ文化人の理想で、
やはり衣食足りて礼節を知る
ってもんだろうからね。

そしてもう一つ。
これがたぶん生活の意味では一番重要。
それは所属しているコミュニティの福祉力。
介護とか医療とかそういう意味じゃなくて、
相互扶助や協同性であって
自分たちで自分たちの問題を解決できる力のこと。
人口減少の少子高齢化の中で
ただでさえ高齢化を先進的に突き進む農業の
主戦場である農村は
今後行政サービスが辺境に届きにくくなる時代にあっては
とても重要な要素になってくる。

さて
これら強い農業とこのコミュニティの福祉力が
同一の方向性を向いているのであれば
僕は何も悩まず
ひたすら農業生産に励むんだろうけど
(いや、それでも励まないか、グータラなので)
ひたすらその地平を眺めても
それがとても同一のものとして
語られていないことが
僕にいろんなブレーキというか、
すっきりとした物言いにならないというか、
何かが違うって心の声が常にあった。

農業だって産業なので
他者との競争に勝ち残ることも
生業としての命題でもある。
ここをゆるく語り
如何にもコミュニティの優等生としての
振る舞いを押し付けられたかのような
言説はこれまでもいくらでも見せつけられてきた。
それが素晴らしいとも思った時期も長かったのも
事実だし
今も僕は時々それを夢想したりもする。
変な言い方かもしれないけど
そう農業を閉じ込めてしまう方が
楽だと思うこともある。
その一方で
自由と権利と国家と個人を考えれば
1人で大きな権力に立ち向かったり
個人の自由が自在に得ることの難しさも
それはそこに「社会」を作ってきたという
僕らの生活の特徴に見て取れる。
何かに帰属し
その帰属した組織や社会やネットワークの
安定が僕らの幸せにつながっていることが多い。
これらは相反するわけではない。
たぶん方向性の違いなんだろうけど
それを同時に内包しようとするから
いろいろと無理が出るんだろう。
一面だけを切り取って
その方向性だけを議論するのは楽だし
楽しいし、なんだか深く思考できたように思えるけど
結局現実は違うので
その狭間でがっかりしたり失望したり、
ま、絶望まではいかないのでお気楽だけど。

で、このエントリーで何が言いたいのか、というのは
農業の競争力を生産力のみで見てしまうのは
やはり僕としてはその未来は辛いな、ってこと。
つまらないって思えてしまうって事だな。
農産物を生産してこその農業なので
もちろん生産が命ではあるんだけどね。
その出口らしきものが実は6次化にあったようにも思えるけど
その議論は生産に付帯する交換価値を高める
加工やサービスに矮小化されてしまって
せっかく新しい言葉の持つ力をすでに失ってしまった。
本当はそういうことじゃないと僕は思っていたんだけど。
農業の価値をどうひろげていくか。
そういう議論の分枝の一つが6次化であり
そのまた分枝が加工やサービスだったように僕には思える。

農業を志向しその道を選んだときを
みんなは覚えているだろうか。
僕は一度目は仕方なく、
農家の長男という役割を演じようとした。
あれはあれで良かったんだけど、
結果的に続かなかった。
二度目は、
もしどこかで革命を経験したことがあるなら
きっとその前夜のこみあげてきて抑えきれない想いとは
こんなことなんだろうというほど
そういう期待と不安とが混ぜ合わさって
まさにこのブログを書き始めた頃はその頃なんだけど、
そういう想いで始めた。
それは農業という生業の中に
農業研修を組み込んで
インドネシアの農村とのかかわりを
僕が生業を続けられる限り
死ぬまでかかわってやろうという決意というか
楽天的な喜びに満ち溢れていた。
たぶん、それが
農業の魅力なんじゃないかって
僕は思う。
だから、そんなものを
僕の農業、いや今はこれに賛同する仲間が増えて
「僕ら」の農業には付帯させるべきだ。
だから、寝に帰るだけの土地が同一的であるというだけの
偽物のコミュニティじゃなく
僕らの営農の仲間というコミュニティのなかで
僕はその両方を目指せばいい。
最近は
そういう風に考え始めている。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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