NHK俳句が面白い。
特に僕は池田澄子さんが好きだ。
彼女の視点は面白い。
とくに今回の句は素晴らしい。

まさか蛙になるとは尻尾なくなるとは  澄子

この句は2つの意味で面白い。
一つ目は俳句の形式に収めようという苦労を
飛び出したのにたぶん作者は十分しているんだろう
というところ。
池田さんの句はつぶやきがそのまま句になっているような
流れるような旋律が美しい句が多い。
5・7・5に収めようとすると
言い表せないことが多すぎて
あれこれと言葉をひねって
最後には駄作の5・7・5が出来上がるのが
僕の常なのだが、
それへの挑戦がなんとも面白い。
そしてその挑戦に大胆に展開したこの句が
また眩い。

二つ目がその中身。
一つ目が律の世界だとすれば、
二つ目は意味の世界だ。
オタマジャクシ自身が
自分の変化に驚く句だが、
ただ単に蛙になったことを言っているわけじゃないだろう。
春は、変化の季節。
受験、進学、就職、クラス替え、卒業式、入学式、入社式、異動、別れ、そして出会い。
そんな変化にあふれた季節。
その変化は自らが進んで得たものかもしれないが
そうじゃないものも多い。
なにかの因果とご縁が混ざり合い
君とここで出会う。
そんなことも起こる季節。
その季節を池田さんは「蛙」に閉じ込めた。
意図せず起きた変化に
わくわくする反面
どこか疎く感じる、まさに春愁。
それらすべてが季語の「蛙」の驚きの中に
閉じ込められている。

流れるような言葉の律と
その中に込められた世界観の広さ。
音と意味。
言葉を与えることで
その現象が生活世界の中で
キラキラとした意味を持ち始める。
池田澄子さんの俳句は
そんな句が多い。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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