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こんな日が来るなんて思わなかった。
といえば嘘になるか。
夢想はしていたけど
諦めてもいたし
勝手な期待は自分を傷つけるだけだから
と言い聞かせた時もあった。
でも、こんな日が来るなんてね。

それは農園の研修を卒業した
技能実習生たちが自主的勉強会を開き、
それに僕がSkypeで参加した事。
以前に長々と書いたエントリー、
年末年始のネットワーク作りで
卒業生たちがネットワークを作ろうと
盛り上がっていることは記録した。
そのネットワークの中で、
今回、記念すべき第一回の
勉強会が開かれた。
そこには
今まで僕が教えた
1期生から5期生までが顔をそろえ、
さらに意識ある高校生や大学のスタッフもいた。

今回の勉強会の発表は
1期生だったヘンドラ。
発表の内容はマーケティングについてだった。
マーケティングと書くと
なんだかすごいことをやっているようにも思えるが
彼の農産物を販売してきた経験からの話が中心だった。

ヘンドラは直接市場に持ち込まず
ブローカーへ販売をしている。
価格差は、市場価格と比べて
500ルピアだという。
市場の方が高く売れるのだが
買ってくれる市場内の商店や商人と
知り合いでない場合、販売は難しく、
また入荷量が多い場合は
その野菜を販売することすら難しいという。
その煩わしさが無いのが
ブローカーへの販売ということだ。
値段は500ルピア安いが
販売量に限度もない(上限が全くないことないだろうけど)。
販売に時間も取られないので
生産に集中できる。
この問題は僕らアンビシ勉強会でも
良く議題になるトピックだ。
生産者が必ず頭を悩ますテーマ
ともいえよう。
販売に力を入れようと思っても
大抵、自分か家族くらいでしか農業をやっていないので
その手間が出てこない。
でも単価は高くとりたいのなら
マーケティングしないと、と焦って
方々を営業に回り、イベントやマルシェにも出店する。
だが、販売に力を入れてマルシェを回っても
今度は生産が疎かになったりする。
注文を取っても
それだけ生産できなかったり。
またはその反対だったり。
そんな事ばかりだね。

ただヘンドラの言っていた
500ルピアの差額はちょっと気になる値段。
菜っ葉なら一束1500ルピアくらいが相場なので、
500ルピアも違うと、ちょっとブローカーは
暴利をむさぼっているようにも見えるね。

ディスカッションでは、
大学のスタッフの方から
日本での販売方法なんかをここで実践してほしいと
卒業生に要望があったり、
4期生のクスワントからは
新しい農業ビジネスが必要だという認識が語られたり。
実際にどうするべきかは、
話が進んでも五里霧中だった。
僕もアドバイスを求められたけど、
気の利いたことは言えず、
さっぱりダメおやじの体で座っていた。

ただ聞いていて思ったのが、
「それって農協じゃだめ?」ってこと。
委託販売では、ちょっとやっていけないけど、
買い取りして販売をしてくれる組織で、
自分の取り分を多くとっちゃうような
ブローカーじゃなくて、
農家の利益のために動ける組織って
みんな笑うかもしれないけど
農協なんじゃないかって。
少なくとも農業協同組合の理念には
そう謳われているよ。
今のカタチの農協が
そんな力も機能もないっていう人も多いだろうし
僕もそこに過度な期待はないけど、
でも初期の頃、
そう、まだぜい弱な市場と流通と
小農を代表する組織もなかった
そんな時代の、
もちろん日本じゃ、
そんな歴史も経験もないかもしれないけど、
そういう場合には
協同組合って案外悪くない気もしないでもない。

ただインドネシア語の語学力が
崩壊してしまっている現状と
協同組合の歴史も仕組みも
インドネシアでの法整備も
全く分からない現状では
僕の思いつきを会議の中で伝えることは出来ず、
1回目の会議は終了した。
ただの思いつきで終わるかもしれないけど、
でも、そういう農家に代わって販売する組織は
やっぱり絶対に必要だと
強く感じた。

Skypeを通じて会議に出られるなんてね。
福井の田舎に居ながらにして
彼らとこうしてまた問題点を共有し
一緒に歩めるという贅沢。
勢いのある彼らの勉強会は
感動と感慨深さがあった。
あああ、インドネシアは本当に発展するんだねって。
そしてそれと同時に
僕に能力が無ければそれでもう
お払い箱になってしまうような
そんな怖さもあった。
錆びついた語学力と
時代遅れになりつつある自分の学問。
ここからが僕が本当にやりたかったことなんだから、
僕もここが正念場だ。
僕もまた必死に彼らについていこう。
そう覚悟を決めた勉強会だった。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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