ジャジャンはもうすぐ帰国する。
インドネシア実習生の彼は、
今年度が3年目だった。
農園たやの研修プログラムは
3年目に卒業研究を行う。
で、最後にそれをまとめて
福井農林高校で発表する機会を
毎回用意してもらっている。
もちろん日本語でのプレゼンだ。
今回もその機会を得て、
ジャジャンはプレゼンをした。

彼の卒業研究は
ソシンというアブラナ科の野菜に発生する
根こぶ病の防除方法だった。
薬剤による防除が難しいとのことで
それに頼らない他の防除方法を探すのが
彼の卒業研究のテーマだった。
あれこれと文献を調べ、
そこで出会ったのが太陽熱処理と
土壌のph調整による防除方法だった。
ということで透明マルチと石灰施肥の実験を
彼はこの1年行った。

結果から言えば、ま、失敗といえるだろう。
石灰施肥でphは上昇したので、
そちらは良かったのだが
太陽熱処理はうまくいかなかった。
透明マルチで土壌を被覆したが、
熱がうまくこもらず、
地温が45℃程度しか上がらなかった。
その結果、透明マルチ内は雑草だらけになり
たとえ根こぶ病が防除できていたとしても
とても作付けできるような状況ではなかった。
雑草が生えないようにするには
50度以上の温度が必要だという。
普及員に聞いたら
マルチの厚みが足りなかったようで、
それで熱がこもらなかったというわけだ。
インドネシアには
透明のマルチがそもそもなく
使用するとしたらビニール資材になるので
どのみち厚みはあるようなので
その資材の使用で熱はこもるから
雑草の発生もなく
根こぶ病の防除はできるだろうね。

発表はとても良かった。
かなり緊張していたようだが、
原稿を棒読みするのではなく
すべて覚えて発表していたのが良かった。
先輩たちが出来なかった発表スタイルだったので
とても評価に値する。

さて
そもそもこういう実験を行ったのは
ジャジャンが帰国後のビジネスとして描いていたのが
ソシンの周年栽培だったからだ。
毎日種を播いて毎日収穫する
僕らには当たり前のライフサイクルが
まだまだインドネシアでは珍しい。
脆弱な圃場の設備も影響しているのだろうけど
(特に給排水)
彼ら彼女らの農業は一時に作業が集中し、
一気に播種して一気に収穫して
そして当然だが、価格は下落する。
流通も脆弱だから、収穫物を遠くへ運べない。
だから近隣で採れる野菜がその季節になれば
その市場にあふれかえる。

ジャジャンは毎日少しずつでも良いので
ソシンを出し続けて
取引先から信頼を得たいと思っている。
ま、それは1つの真実だ。
「美味しい」や「特別な栽培」、「特別な野菜」よりも
「毎日切らすことなく出荷する」は
もっとも必要なスキルで
市場でもっとも信頼を獲得できるからね。
それを評価する市場が君の近くにあれば、だけど。
市場の聞こえざる声に反応できるような
敏感な感性が
君に備わっていることを
僕はただただ祈るのみだ。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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