久しぶりに、
夜にインドネシア実習生への授業をする。
夜は時間もたっぷりあるので
議論はもちろんあっち行ったりこっち行ったり。
こういううねうねと議論するの
僕は大好きだ。

今回の教材はこれ。
DVD
『お米が食べられなくなる日』

DVDの内容を簡略化すれば、
米の供給不足時代から過剰時代に入り
減反政策が敷かれ
米の消費は年々減っているのに
ガットウルグアイラウンドなどで
MA米の受け入れを決めたり
食管法で自由化し、価格下落を招き
今じゃ、米生産を時給にすると179円というありさま
というお話。
ちょっと針小棒大なところもありやすが、
ま、的は外れていないかな。

経済成長のけん引役である
輸出向け工業製品の関税と引き換えに
農産物の関税も下がる。
これは今のTPPにもそのまま当てはまるね。
ま、国内の製造業がそれで盛り上がることは
もうそんなにないかもしれないけど。

アメリカの占領下で
余っていた小麦によるパン給食は
よく語られる事象だけど、
どうなんだろうって最近思う。
インドネシアはそういう歴史的事件はないけど
年々パンの消費は伸びていて、
米の消費も徐々に落ちていくように見える。
美味しいから、とか
食べやすいから、とか
実習生はそんな理由を並べ立てていたけど、
多分それが『近代的』だからじゃないかな。
価値的な意味で、
その食べ物がみんなにとっての
富の象徴とまでは言わないけど、
それに近いものがあると思う。
だから近くの民族で
サゴヤシのでんぷんを主食にしていても
経済成長の恩恵を受けて
食べ物のバリエーションが広がる中で
それが選択肢に入ることはないと思う。
同等かそれ以下かと見ている価値を
拾い上げることはない。
だから1993年の米騒動で
タイ米を輸入した際に
みんなが『美味しくない』と言ったのは
そこにも近代的なものへの価値観は
あったようにも思える。

このDVDを受けて
インドネシアではこれから
経済成長を武器に
食の多様化がどんどん進むだろう。
その反面、それをけん引する工業部門を
支えるために
もしくは農業でも工業化された
もしくは換金作物たとえばパームオイルといった
産業としての大規模プランテーションを軸とした
分野を支えるためにも
一般的農作物の関税は引き下げられるだろうね。
山間の多い西ジャワでは
米の生産をしている場合じゃなくなる。
これは間違いない。
大規模化も機械化も進まないから。
その一方で、ピケティが言うように
資本の膨張よりも経済成長が低いという面と
経済をけん引する産業が国外に出ていかないためにも
チープレイバーは国策的に維持されるかも。
そして、それを食わしていくために
安い食糧への要求もまだまだ強くなるだろうね。
それが輸入で賄われるのか
インドネシアお得意の二重経済化で
行われるのかは、インドネシア実習生の肩越しに
注意深く見ていきたい。

で、インドネシア実習生。
今までの彼ら彼女らの農業モデルが
そのまま発展していって
いずれは裕福なるという幻想は
すぐに捨てた方が良い。
それが裕福になる発展を含んでいるのは、
そこに経済成長することで
選択してもらえる
『近代的』な価値やシステムを
含んでいるかどうかだ。
量を作るのならより安く提供し、
寡占的でないといけない。
価値あるモノにするのなら、
買い手が納得するだけの
説明力が無ければいけない。
そういったどれかが含まれていない
モデルなら、
このDVDにあったように
時代の流れの中で消えゆく農業に
なっていくだろう。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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