インドネシア実習生への授業が
僕のオアシス。
僕が僕であり続けられる場所。
それは
現実から乖離した事象に
悩む毎日に疲れているからか、
それとも僕は自分のアクセルを踏み続けて
加速しているからか、
最近よくそう思う。
さて今日は、
グローバリゼーションと農業の授業。

TPP大筋合意し、
それに伴い青壮年部を束ねる立場にあり
何かと意識と議論を持っていかれる日々と、
なぜだかこのタイミングで
幕末にはまっている新人すーちゃんに
尊王攘夷を説きながら
開国に無理やり回天させてしまうという
荒業続きの
幕末の歴史を仕事しながら語っている日常と、
そして目の前にいるインドネシア実習生の
その存在そのものがグローバリゼーションだという現実の
すべてがクロスオーバーして、
最近、この授業が自分でも好きだ。

前置きが長くなったが、
今回のお題は、久しぶりにこれを取り上げた。
「おいしいコーヒーの真実」。
ちょうど前回まで従属論を
軽くおさらいしたところだったので、
この映画が一番面白いだろう、と思って
お題にした。
詳しい内容にはここでは触れない。
昔書いたリンクを参照してほしい
さてさて
従属下に置かれたエチオピア農民の
生きる道はどこにあるのだろうか?
長く伸びたサプライチェーンを断ち切ることか?
農家たちにコーヒーの技術を引き寄せることか?
フェアなトレードに望みをつなぐのか?
こんなコーヒー産業から抜け出して
他の仕事を探すか?
まず、こういう疑問が沸く。
従属下に置かれた状況に
僕ら
(こういう映画を自国語で自由に見られる状況)は
従属の構造を易々と見つけることができるが
そもそもあちらの農家はそのような
構造をしっかりと従属として認識できているのだろうか、
ということ。
これに立ち向かおうとした実習生もいた。
4期生のクスワントだ。
彼の発表はこちらのリンクを参照してほしい
彼は卒業研究を通じて、
途上国の農民が日本で売買されている自分の栽培品目が
どのようなサプライチェーンの中で
価格と価値を上昇させていくかを体験した。
これ自体はとても大きな成果で
今でも彼の発表が卒業研究発表の中で
一番だと評価している。
だが、
大きな構造はたとえ認識できたとしても
それを変える力は到底ひとりじゃ無理さ。
みんなの力を合わせて!と月並みなセリフを吐いたとしても、
社会的ジレンマの問題で
そうそう社会も民衆も動きはしない。
コーヒー農家が安くてもすぐに現金化できるほうが
良かったりもするのは
なにも途上国に限った心情でもない。
サービスの全体を農家全員が知ることができれば
そういう力も生まれるかもしれない。

話はちょっと違うかもしれないが、
安保法案だって国会を通過したけど
あれだけのデモの経験は僕らの中にしっかりと沈殿した。
だから、「次」が楽しみだと僕らは今思えるのも
全員があれを経験したからだろう。
でもそういう力が
マージナルに置かれた農家に持ちえるだろうか。
みんながタデッセと同じ視点で
世界をのぞけるだろうか?
クスワントのように
丁寧にサプライチェーンを先進国の
最終消費者まで追えるだろうか?
それと同等の刺激を
僕ら農民が受けて、
社会運動につなげられるのだろうか?
いつものことだが
議論を重ねても答えは見いだせない。
でも、仕組みは分かる。
そのチェーンから
つまりは市場から刺激を受けることが
出来る立場と場所が必要だということだ。
情報が偏って存在する中で生まれる従属構造を
平準化するグローバリゼーションは
それも見逃さないのだろうか?
通信手段とネットワークが
徐々にそれを追いつめることができるのかどうかは
分からないが、
僕らがこう考えることに
意味はあるんだと思いたい。

昔の仲間だった
高橋和志が編者を務めた
『国際協力ってなんだろう』という本に
貿易自由化で競争力のない産業は不利益を被るため
所得減少や失業などを緩和する措置を設け、
そうした人々が競争力ある産業への転職を促す必要があると
書かれていたが、
それ自体は僕も間違っているとは思わない。
それが小規模の家族的農業だってことも良くわかっているさ。
先進国や途上国という経済の違いによって
その波の大小とその破壊される力の構造的な違いはあるが
ほぼすべてのそういう農業経営体がやられていくのも分かる。
価格競争で負けるか、従属関係に置かれるか。
長くグローバルに伸びていくサプライチェーンの中で
僕ら農民はガルトゥンがかつて従属論のモデルとした
グローバルな世界のつながりは
途上国と先進国の農家の衝突を生み出すとしたが、
実はそれぞれが直接的に衝突するのではなく、
それぞれが構造的に衝突下に置かれるように見えるだけで
それぞれが戦っているモノはそれぞれに別であるというのが
僕の意見だ。
だから、僕はインドネシアの農民とつながる。
その構造下でも、僕らが協同できるように。

授業では答えは、いつも出ない。
でも考える方向だけは一緒に確認する。
どうにもならない構造だとしても
こうした小さいつながりが
少なくとも僕らの周りだけでも変わらないかなぁという
期待を込めて。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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