TPPが大筋で合意した。
これからこれが本当に批准されれば、
その日が歴史の大きな転換点になるだろう。

そういうことがあって
ここ最近、ずいぶんと気力が薄れていた。
だからエントリーもかけなかった。
でもそれも国家の狙いだとすれば
僕は書き続けないといけない。
ということで、
分からないことだらけだけど
記録しよう。

さてTPPは
経済だけでなく
社会の仕組みやルールを国という枠組みを超えて
決められていく自由貿易圏。
交渉のプロセスを観ていると
ほぼ先進国の中でも力を持っている国が
そのルールを自分に有利に展開しているのが現状で
ここにおいても従属論的な世界システムが
再生産されているようにも見える。
それが希望なのか
茶番なのかは
僕には良く見えない。
ただ大戦後にWTOで議論されてきた自由貿易とは違って
この仕掛けは安保改正法案と一緒で
世界の平和に貢献はしないだろう
というのだけは確信している。

今回の大筋合意を受けて
日本農業新聞と福井新聞の取材を受けた。
僕自身は米農家でもなく、
TPPの直接的影響を受けにくい
中規模多品種栽培でほぼすべての農産物を
独自ルートで販売する独立系専業中農なので、
直接の影響を意見する立場ではないのかもしれない。
ただ今年は県青協の会長を務めているので
その立場で、
自分から見える福井の農業の変化
(特に稲作を兼業で行っている構造)
について意見をした。

聖域と言われたコメでも
今回は大きく譲歩したと報道されていた。
たしかに8万トンの米が
人口減少や高齢化や米食離れによって
余っている現在において、
7万トンをさらに輸入する枠を設けるという意味は
大きいだろう。
飼料米によって需要を他に分散させるような策を
当面とってはいるが
誰の目から見てもそれが永続的じゃないというのは
良くわかっている。
2500億の競技場で右往左往する社会なのだ。
毎年飼料米の助成金にいくら払われているかを
報道キャンペーンでも行われたら
とてもそんな方面に税金を投入することなんて
国民からコンセンサスを得られない。

生産調整の廃止も予定されている中、
今回のTPPでのコメの譲歩は
ある意味、国家からのあるメッセージだと
僕は捉えたい。
それは、国家の想像する『強い農業』に
乗っかれと言うメッセージだ。
では、その強い農業ってどんな農業なんだ?
今回のTPPでその答えはある程度指し示されている。
それはたとえばアメリカの農業だろう。
面積的にそれはないだろうと思うだろう。
それは表面的なことで
構造的に言えばそれが強い農業ってことになる。
ちょっと前に勉強会でこれについては
やっているので、
詳しい中身はそのエントリーを参照してもらいたい。
アメリカの農業を読むby田谷プレゼン

そして飼料米のスタート。
生産調整を無くしてTPPへの合意。
それらの指し示す未来は、
まさに自由のない大規模化とコスト削減の競争の農業だ。

小耳にはさんだ話だが
福井のJAのカントリーは昭和50年代くらいに建てられていて
その施設の老朽化は甚だしい。
今年となりのJAでは自分たちのカントリーが
上手く稼働せず、
こちらのJAのカントリーを借りに来るくらいだった。
当然建て替えないといけないが、
今あるのをそのまま建て替えはできないような雲域で、
ここらの地区だけでもいくつかに統合しないと
行政の援助を得られないような雰囲気だという。
そこに持ってきて農協改革だ。
農協が良くなるのならそれはそれでいいのだが、
さっそくJAで話されているのは『削減』話。
そう行政の指導する改革はいつも削減だ。
で効率を良くする話だ。
そして歩みを同じして
メガファームという言葉が踊りだしている。
小さい非効率の兼業農家には退場してもらおうって腹だ。
そこにある適応能力を持つ組織を
それを支えていた兼業農家と一緒に
減らしてしまおうっていう腹だ。
これらは偶然か?
そんなことはない。
これはそういう方向だ!と
少しずつ見えない大きな力で
農業の構造的な変化への圧力なんだ。

TPPで何かが守れたとか
この点は利点だとか
そんな議論じゃないんだ。
僕らの幸せはどんなことで、
そのことと今の流れが
どうリンクしているのかに
もっと意識して考えたらいい。
そうしたら飼料米と安保法案は
あながち関係ないとは言い切れない。

僕は自由な営農がしたい。
僕の住むここの地域で
自治力を高めて
自分たちである程度の問題を解決できるようにしたい。
いろんな人が入り込んできて、
にぎやかな農村であってほしい。
国家に適応できるだけの組織が
集落や地区や地域にあって、
個人が個人として国家と対抗する必要のない
社会であってほしい。
だが、TPPの大筋合意が
その夢を大きく打ち砕く。
その未来はどこなのかを
嫌というほど見せつけられる。
僕の力は小さい。
でも、それに屈してしまえば
僕らの幸せのカタチは大きく変容していってしまう。
ここが僕らの踏ん張りどころだ。
そう思ったTPP大筋合意だった。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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