腸内フローラを観た数日後、
こんな電話をいただいた。

「いつもスーパーでベビーリーフを買っています。ラベルに軽く水洗いしてくださいって書いてありますが、それだけで本当に生で食べて大丈夫なんでしょうか?」

この方は以前にも
ベビーリーフに土がついていた、と
ご連絡をいただいた方だ。
連絡をくれるのはとても良いお客さん。
大抵の方は、そこで気分を害せば
もう買ってもらえないだけだからね。
で、その時は、
土耕で作っているので、
葉っぱに土が着くことはあります、や
きれいに洗っていただければ問題ありません、
と答えた。
それが気になるのなら、
生での食べ方をやめるか、
無菌の植物工場で育てられた野菜を食べるしかない。
こちらで過剰な洗浄をしたり
食の安全という意味で必要以上の
手を加えることは極力しない。
農園たやは、そういう方針だ。

さてお電話いただいた方は
食中毒や残留農薬を気にしておられるようで、
とにかく軽く洗っただけでも
汚れや農薬がとれるのか、と気にされていた。
正直に言えば、
水で洗ってもたぶん、
それらは取れないだろうと思う。
ただそれが本当に健康にとって
脅威なのかどうか、は別問題だろう。
農園で使用している農薬は、
細菌では微生物農薬が増えており、
人体に対しても影響の少ない農薬に切り替わっている。
有機リン系・カーバメイト系・合成ピレスロイド系の
いわゆる皆殺し剤の使用は控えている。
それらにしても
それらが人体に危ないと言いたいわけではなく
農園では必要以上に天敵やただの虫を傷つけない、
というそういう方針からでもある。
農薬は
厚生労働省と農水省のガイドラインに沿って
必要回数と日数と希釈率と量を散布している。
基準が安全じゃない!と言う方もいるだろうね。
そういう方面もできる限り勉強し、
最新情報を集めている。
ネオニコチノイド系のヨーロッパでの使用禁止についても
それを禁止してもミツバチの状況が
変わらないという現実も
僕らは情報として集めていて、
日本のガイドラインでは禁止になっていないような
事例もできるだけ追うようにしている。
その学問と知識と現場での判断で
僕らは農薬散布を行っている。
で、それら農薬が完全に分解されているかどうかも
確かに問題かもしれないが、
それ以上に洗って落ちずに経口摂取された場合の
影響についても僕らは、
急性毒性や慢性毒性
そして一日摂取許容量がどのようなものであるかも
それぞれの農薬について確認もしている。
だから安全とは言い切らないが、
安全を求める姿勢はこれからも続けていく。

次に食中毒。
農園では堆肥で土づくりをする。
化学肥料を使用しないし、土壌消毒も行わない。
だから土壌中の微生物量はたぶん多い。
以前、カット野菜の業者とコラボして
農園の野菜をカット野菜に混ぜて販売したことがあった。
その時、その業者が自社基準で
農園の野菜を検査したところ、
基準以上の微生物が検出されて
何度か再検査になった。
その原因の一つは、
その業者の自社基準の基準だろう。
監督官庁の基準の2倍の厳しさで
より安全性をアピールしていたのだが、
その基準で測ると農園の野菜は
たまに再検査になってしまうのだ。
必要以上に厳しい基準だっていうが、
他の業者から納入された野菜は
厳しい基準でもまったく引っかからないという。
なぜ農園の野菜はたまに再検査になったのか?
それは土づくりにある。
土壌中の微生物群を増やすような取り組みを
長年行っているので、
農園の土にはたくさんの生き物が住んでいると思われる。
その土に育まれて個性あふれる(と自分で言うのもなんだけどね)
野菜が育つのだが、
当然、その野菜にも微生物がたくさん住みつくのだ。
植物たちも自分たちだけで
栄養を土から摂取しているわけではなく
多くの寄生微生物との共生の中で
自分たちに必要な物質を分け与えながら
お互いに生きていると言うが
本当の自然の描写だろう。
だから微生物群の多い環境で育てば
野菜にも多くの微生物や菌が寄生していても
おかしくない。

そして、腸内フローラ。
滅菌抗菌思想とは逆の真実。
エコシステムの中で生産を続ける意義と意味が
そこにあるように感じる。
有用で植物と共生している菌と微生物群。
lgA抗体は30とも100とも言われている
世界中にある微生物群の中で
4つの群を選んで腸内に住まわせている。
僕らがこれからも付き合っていくべき
パートナーは、こういう身近なところの
昔からの取り組みの中にあったかもしれない。
と結論付けるのは、性急なのだろうか。

軽く水洗いだけで大丈夫ですか?
その方の問いへの答えは単純で明快だ。
それで大丈夫です。
これまでの方向性が
間違っていなかった、そんな風に思える。
もちろん批判的な視点で
僕もまだまだ研究を続けていこうと思う。
でも現時点でも、僕は自信を持ってこう答えよう。

それで大丈夫です、と。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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